僻在へきざい)” の例文
或人あるひとは今の別府は南の方に僻在へきざいしている、亀川の東にある実相寺山を中心として、大きな泉都せんとを建設せなければならぬといっている。
別府温泉 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
勘次かんじ菜種油なたねあぶらのやうに櫟林くぬぎばやしあひせつしつゝ村落むら西端せいたん僻在へきざいして親子おやこにんたゞ凝結ぎようけつしたやうな状態じやうたいたもつて落付おちついるのである。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
これは国が僻在へきざいしておって守旧に便利なのと、「スラーブ」民族が元来政治思想に乏しきが故であるが、その地勢が守るにやすく攻むるにかた
東亜の平和を論ず (新字新仮名) / 大隈重信(著)
長門ながとは山陽の西陬せいすう僻在へきざいす、しこうして萩城連山のきたおおい、渤海ぼっかいしょうに当る。その地海にそむき山に面す、卑湿ひしつ隠暗。城の東郊は則ち吾が松下村なり。
吉田松陰 (新字新仮名) / 徳富蘇峰(著)
即ち予州は極めて僻在へきざいの地ながら俳句界の牛耳を取る証拠にしてこの事を聞く已来いらい猶更小生は『ほととぎす』を永続為致度念さかんに起り申候。
子規居士と余 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
村落むら西端せいたん僻在へきざいしてかれには興味きようみもつさせるひとつの條件でうけんそなへてなかつた。たゞむつゝりとして他人たにんうつたへることももとめることもないかれは一さい村落むらとの交渉かうせふがなかつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)