俥夫くるまや)” の例文
日が暮れておそく帰ると、牛込の料理屋から、俥夫くるまやが持ってけつけたという、先生の手紙があって、「弦光座にあり、待つ」とおっしゃる。
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
そして橋普請のそば俥夫くるまやが一人でえつちらおつちら重い俥を持ち悩んでゐるのを見ると、もう黙つてゐられなくなつた。
なるほど、それは、そうすれば俥夫くるまやにやる御祝儀だけで事が足ります。
春泥 (新字新仮名) / 久保田万太郎(著)
一宿ひとやどり。一宿ひとやどりして、こゝを、またこゝからつて、大雪おほゆきなか敦賀つるがしたこともある。くるまはきかない。俥夫くるまやあさまだき提灯ちやうちん道案内みちあんないつた。
麻を刈る (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
見ると孟子は居ないで、孟子よりか少し腕つ節のつよさうな俥夫くるまやが立つてゐた。
こゝに希有けうことがあつた。宿やどにかへりがけに、きやくせたくるまると、二臺三臺にだいさんだい俥夫くるまやそろつて鐵棒かなぼう一條ひとすぢづゝげて、片手かたてかぢすのであつた。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
箪笥といふものは、博士のうちにあつても、俥夫くるまやうちにあつても感心な程腹の太いもので、亭主の秘密ないしよも、女房の臍繰へそくりも、流行品も流行後れも同じやうに飲み込んで、ちつとも厭な顔を見せない。
辻俥つじぐるま蹴込けこみへ、ドンと積んで、山塞さんさいの中坂を乗下ろし、三崎ちょうの原を切って、水道橋から壱岐殿坂いきどのざかへ、ありゃありゃと、俥夫くるまやと矢声を合わせ、切通きりどおしあたりになると、社中随一のハイカラで
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
俥が橋のなか程まで来ると、俥夫くるまやはがたりと梶棒をおろした。
芝居ずきな方で、酔っぱらった遊びがえりの真夜中に、あなた、やっぱり芝居ずきの俥夫くるまやと話がはずむと、壱岐殿坂の真中まんなかあたりで、俥夫わかいしゅは吹消した提灯かんばんを、鼠に踏まえて、真鍮しんちゅう煙管きせるを鉄扇で
薄紅梅 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
俥夫くるまや鐵棒かなぼう振舞ふりまはすのを、はしつてたのである。
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)