他家たけ)” の例文
こいつをやるのは西風戦シーフォンせん北風戦ペーフォンせんといったように、四人の面子メンツがお互に、「ここで大きいものを作って他家たけよりリードしよう」
麻雀インチキ物語 (新字新仮名) / 海野十三(著)
しかも本多忠勝という他家たけのひとによって実証されたのだからそのままに済ませることはできない、現に忠勝さえ短刀を与えているのである
青竹 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
主命しゆうめいりて糸子いとこ縁談えんだんの申しこみなるべし、其時そのとき雪三せつざう决然けつぜんとせし聲音こわねにて、折角せつかく御懇望ごこんもうながら糸子いとこさま御儀おんぎ他家たけしたまふ御身おんみならねばおこゝろうけたまはるまでもなし
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その東隣が後に他家たけを買ひつぶして広げた新塾しんじゆくである。講堂の背後うしろが平八郎の書斎で、中斎ちゆうさいと名づけてある。
大塩平八郎 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
姉が心配しているから、なるべく早く返事をもらいたいという依頼も付け加えてありました。Kは寺をいだ兄よりも、他家たけへ縁づいたこの姉を好いていました。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
自分は他家たけの厄介になっている身の上であるから、まだ当分は嫁に行くなどという気はないと答えた。
有喜世新聞の話 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「じつは、他家たけ吹聴ふいちょうしたくない、秘密なしなもござりますゆえ、願わくばお人ばらいをねがいまする」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
色にもせずわざ悄々しほ/\として是迄のあつ御高恩ごかうおんを報じもせずして他家たけに奉公致す事はまこと迷惑めいわくなれども御本店の事なればいたし方なしと誠に餘儀よぎなきてい挨拶あいさつをぞなしにける
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
えんより下へ引下し高手小手にいましめたり然ば大膽不敵だいたんふてきの平左衞門も大岡殿の烈敷はげしき言葉ことばに一句も出ず繩目なはめに及ぶぞ心地よしさてまた大岡殿は老中方らうぢうかたに向はれ主税之助并に家來けらい平左衞門儀只今たゞいま吟味仕つり候通り是迄の惡事相違御座なくによりまづ主税之助儀は他家たけへ御預け仰せ付られ追ては
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)