今暁こんぎょう)” の例文
旧字:今曉
昨夜、夜半から今暁こんぎょうにかけて、ひんぴんたるその早馬です。——すでに、敵は袁紹を総大将と仰ぎ、曹操を参謀とし、その第一手の先鋒を
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜明けて後男共は今暁こんぎょう死犢しとくを食料にせんことを請求してきた。全くる故障より起った早産で母牛も壮健であるのだから食うても少しも差支さしつかえはない。
牛舎の日記 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
兇行は昨夜八時頃より今暁こんぎょう四時頃までのあいだに仕遂げられたらしく、磯貝は銘仙めいせん単衣ひとえものの上にの羽織をかさねて含満がんまんふちのほとりに倒れていたり。
慈悲心鳥 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
今暁こんぎょう討手下ったかと、心にいぶかしく思っていたが、これでわかった、おのれの裏切り! おのれの裏切りによって知れたのじゃな! ……何んといおうぞ
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
前から、沖仲仕の争議については、僕等も深い関心を持って、なりゆきを注目していたんですが、いよいよ、今暁こんぎょう、午前三時からゼネ・ストに入るそうで。
花と龍 (新字新仮名) / 火野葦平(著)
午後東京から来た学生の一人が、天皇陛下今暁こんぎょう一時四十三分崩御ほうぎょあらせられたと云う事を告げた。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「昨夜、丸の内会館で、薬物学会の幹部連中が、やられちまいました。松瀬博士以下土浦、園田、木下、小玉こだま博士、それに若い学士達が四五人、みな今暁こんぎょう息をひきとったそうです」
国際殺人団の崩壊 (新字新仮名) / 海野十三(著)
今暁こんぎょうわれわれは、彼ら以上の大成功を期待している。諸君よ、怖れず今暁けさも子供のように隠れようではないか。余は各自が、充分その任務を尽さんことを望む。諸君、サア、浮揚の部署につこう
潜航艇「鷹の城」 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
わが社編集局は、今暁こんぎょう、怪盗二十面相から一通の書状を受けとった。
少年探偵団 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
覆面ふくめん盗賊とうぞく今暁こんぎょう渋谷の××銀行を襲う、行金こうきん強奪ごうだつして逃走す
香水紳士 (新字新仮名) / 大阪圭吉(著)
いわゆる七花八裂の惨状を浴び、あれよというまに、謙信はすでに、今暁こんぎょうから偵知していた信玄の中軍へ向ってまっしぐらに駆け込んでいた。
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
死斑しはんと硬直から推測して、お三根の死は今暁こんぎょうの午前一時から二時の間だと思われた。
金属人間 (新字新仮名) / 海野十三(著)
つい先頃までの彼は、頼朝の召をうけても、去就きょしゅうに迷っていたのである。が、今暁こんぎょうここへ来る時には、もう肚は極まっていた。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まちがいなくミマツ曲馬団が今暁こんぎょう二時、一大音響とともに火を出して、すっかり焼けてしまったことと、そして団員と思われる二十数名の犠牲者が、その焼跡から発見されたことが
爆薬の花籠 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「それはそれは、昨夜のうちに、側衆そばしゅうまで、仰せ置かれるとようございましたな。……殿には、今暁こんぎょう、未明のうちに、もはやお立ちでございます」
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
敗風ひとたび陣にすさぶや、今暁こんぎょうからの味方の浮足は見るにたえないものだった。逸早いちはやく武器を捨てて身一つ大事と脱走し去った卑怯者も少なくない。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
実をいうと今暁こんぎょうの出陣は、実に急速だったので、身に具足を着ける時間がやっとあったくらいで、雪隠せっちんにはいって腹工合を整えるいとますらなかったのだ。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今暁こんぎょう、頂戴いたした密使のお言伝ことづてによって、われ等父子おやこ、死すとも北条家には渡しがたきこの松井田城ではあれど、貴公の義心に、向くる矢もはや尽きた。
篝火の女 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
太宰府は今暁こんぎょう、菊池勢に攻めおとされ、大殿の妙恵みょうけい様、宗応蔵主そうおうぞうすさま、ご一族は内山へ逃げ退いて、御寺みてらへ火をかけ、火中にて御自害をとげてみなお果てなされました。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
『ただ今、吉良様のお出入町人、本所の豆腐屋儀助という者が御門前へ馳せつけ、今暁こんぎょう、赤穂浪人の群が一挙に、松坂町のお屋敷へ押しこみ、狼藉中ろうぜきちゅうとの報らせでございまする』
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それから今暁こんぎょう着いた早打の使者がもたらした書面を、沈痛な態度で、読んで聞かせ
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今暁こんぎょう、主上には、尊氏との和議によって、俄に、洛中へおかえりになることになりましたが、新田どのには、ご存知あるのか否か。……また、龍駕に供奉ぐぶして行かれる御所存ごしょぞんかどうか。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——今暁こんぎょう、一手は鳥羽畷とばなわてにて。また一ヵ所は、祇園ぎおん門前にて、敵をうちやぶり、その手の大将、越前ノ松寿丸と、鑑岩僧都かんがんそうずと申す荒法師とを、いけどりましたゆえ、それの言上までに」
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
官兵衛は兵糧方が配っていた玄米くろごめの握り飯を一つ持って、床几場の陣幕外とばりそとに立ってむしゃむしゃ喰っていた。思えば今暁こんぎょうの一刻こそ、実に危うい境ではあったと、今更ほっと吐息が出てくる。
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
顧みると、賤ヶ嶽で序戦に入ったのが今暁こんぎょうの午前四時。
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今暁こんぎょう。それは十月にはいったばかりのこと。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今暁こんぎょうも——である。
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
今暁こんぎょうの変を」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)