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二疊
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にでふ
其に
較べて
見る
時は、
鳥籠の
中は
狹けれども、
二疊ばかりあるらむを、
汝一人の
寢起にはよも
堪難きことあるまじ。
上段づきの
大廣間、
正面一段高い
處に、
疊二疊もあらうと
思ふ、
恰も
炎の
池の
如き
眞鍮の
大火鉢、
炭火の
烈々としたのを
前に
控へて、
唯見る
一個の
大丈夫。
一方は
明窓の
障子がはまつて、
其外は
疊二疊ばかりの、しツくひ
叩の
池で、
金魚も
緋鯉も
居るのではない。
駈け
込むやうに、
門外の
柳を
潛つて、
格子戸の
前の
梅を
覗くと、
二疊に
一人机を
控へてた
書生が
居て、はじめて
逢つた、
春葉である。十七だから、
髯なんか
生やさない、
五分刈の
長い
顏で、
仰向いた。