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両岸
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りやうがん
つもる雪もおなじく氷りて岩のごとく、
岸の氷りたる
端次第に雪ふりつもり、のちには
両岸の雪
相合して
陸地とおなじ雪の地となる。
雨が
霽れると水に濡れた家具や
夜具蒲団を初め、何とも知れぬ
汚らしい
襤褸の数々は旗か
幟のやうに
両岸の屋根や窓の上に
曝し出される。
人ひとりあらはれわたる土の橋橋の
両岸ただ冬の風
岸の
対ひ
逆巻村にいたる所に
橋あり、
猿飛橋といふ橋のさまを見るに、よしや猿にても
翼あらざれば
飛べくもあらず、
両岸は
絶壁にて
屏風をたてたるが
如くなれども
春秋時候の変り目に降りつゞく
大雨の
度毎に、
芝と
麻布の高台から滝のやうに落ちて来る濁水は忽ち
両岸に氾濫して、あばら
家の腐つた土台から
軈ては破れた
畳までを
浸してしまふ。
さて
前にいへる
渋海川にて
春の
彼岸の
頃、幾百万の
白蝶水面より二三尺をはなれて
羽もすれあふばかり
群たるが、
高さは一
丈あまり、
両岸を
限りとして川下より川上の方へ
飛行