一時あるとき)” の例文
忠實まめやかつかへたる何某なにがしとかやいへりし近侍きんじ武士ぶしきみおもふことのせつなるより、御身おんみ健康けんかう憂慮きづかひて、一時あるとき御前ごぜん罷出まかりい
十万石 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一時あるときは先立ちて園生そのうをそぞろあるきしたまうことあり。さる折には、われ家を出づる時、心の急がざることあらざりき。
照葉狂言 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
昔そのからの都の大道を、一時あるとき、その何でござりまして、怪しげな道人が、髪をさばいて、何と、骨だらけなあおい胸を岸破々々がばがばと開けました真中まんなかへ、
朱日記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
備中びつちう一時あるとき越前ゑちぜん領土巡検りやうどじゆんけんやくを、主人しゆじん義景よしかげよりうけたまはり、供方ともかた二十にんばかりをれて、領分りやうぶんたみ状態じやうたいさつせんため、だゝる越前ゑちぜん大川おほかは足羽川あすはがはのほとりにかゝる。
怪力 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
れにもりず、一時あるときなんぞは、とん遊蕩のら金子かねこまりますところから、えぬ、へゝゝゝ
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
一時あるときなどは椽側えんがわに何だか解らぬが動物の足跡が付いているが、それなんぞしらべて丁度ちょうど障子の一小間ひとこまの間を出入ではいりするほどな動物だろうという事だけは推測出来たが、たれしも
一寸怪 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)