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一幅
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いっぷく
ふりがな文庫
“
一幅
(
いっぷく
)” の例文
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
には遊女の
立姿
(
たちすがた
)
かきし墨絵の
一幅
(
いっぷく
)
いつ見ても掛けかへられし事なく、その前に据ゑたる机は
一閑張
(
いっかんばり
)
の極めて粗末なるものにて
書かでもの記
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
言うかと思うと、
一幅
(
いっぷく
)
の書がどこからとも知れずに軒下へ舞い落ちた。それは筆をもって書いたもので、
字画
(
じかく
)
も整然と読まれた。
中国怪奇小説集:06 宣室志(唐)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
崋山が発見したという逸話を
掻抓
(
かいつま
)
んでいうならば、或る時、崋山が四谷辺を通って、ふと一古物商の奥を見ると、
一幅
(
いっぷく
)
の図が展じてある。
随筆 宮本武蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
赤い丸い月が出て居る有様を朱肉で丸印が
捺
(
お
)
してあるものとして、一行の雁字と共に
一幅
(
いっぷく
)
を成して居るかのやうにしやれて見たのであらう。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
一幅
(
いっぷく
)
ずつの掛物を持参して床の間へ吊し一同に披露して、又、別の掛物をとりに行く、名画が一同を楽しませることを自分の喜びとしているのである。
日本文化私観
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
▼ もっと見る
あるものは足を吊られて、
逆
(
さか
)
さまに噴気孔に下げられている。それは
一幅
(
いっぷく
)
の
凄惨
(
せいさん
)
な地獄絵図でなくて何であろう。
雲仙岳
(新字新仮名)
/
菊池幽芳
(著)
墓地を出て両側の
窪
(
くぼ
)
みに
菌
(
きのこ
)
の
生
(
は
)
えていそうな
日蔭
(
ひかげ
)
の坂道にかかると、坂下から
一幅
(
いっぷく
)
の冷たい風が吹き上げて来た。
かの女の朝
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
桔梗
(
ききょう
)
、萩、
女郎花
(
おみなえし
)
、
一幅
(
いっぷく
)
の花野が水とともに床に流れ、露を縫った銀糸の照る、
彩
(
いろ
)
ある女帯が目を打つと同時に、銑吉は宙を飛んで、階段を下へ
刎
(
は
)
ね落ちた。
神鷺之巻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
春には寒い——日本の
弥生宵節句
(
やよいよいぜっく
)
には、すこしドッシリした調子の
一幅
(
いっぷく
)
の北欧風の名画があったともいえようし、立派な芝居の一場面が展開されるところともいえもしよう形容を
江木欣々女史
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
この時、私の頭にはふと
一幅
(
いっぷく
)
の神異的な書面が思い浮んで来たものである。
紺青
(
こんじょう
)
色の空に一輪の
金色
(
こんじき
)
の
円
(
まる
)
い月が出てその下は海岸の
沙地
(
すなち
)
で、一面に見渡すかぎり清々とした
西瓜
(
すいか
)
が植っている。
故郷
(新字新仮名)
/
魯迅
(著)
で、折れかかった板橋を
跨
(
また
)
いで、さっと銀をよないだ
一幅
(
いっぷく
)
の
流
(
ながれ
)
の
汀
(
なぎさ
)
へ出ました。川というより色紙形の湖です。一等、水の綺麗な場所でな。居士が言いましたよ。
半島一奇抄
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
一、美は比較的なり、絶対的に
非
(
あら
)
ず。
故
(
ゆえ
)
に一首の詩、
一幅
(
いっぷく
)
の画を
取
(
とっ
)
て美不美を言ふべからず。もしこれを言ふ時は
胸裡
(
きょうり
)
に記憶したる幾多の詩画を取て
暗々
(
あんあん
)
に比較して言ふのみ。
俳諧大要
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
一笑してから、ふと後ろの床を振り向いて、壁間の
一幅
(
いっぷく
)
を飽かず見つめ出した。
新書太閤記:07 第七分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
あとで聞くと、
小児心
(
こどもごころ
)
にもあまりの
嬉
(
うれ
)
しさに、この
一幅
(
いっぷく
)
の春の海に対して、
報恩
(
ほうおん
)
の
志
(
こころざし
)
であったという。
春昼後刻
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
ここに繰返してまた単に
一幅
(
いっぷく
)
わが県全市の図は、七色を以てなどりて彩られ候やうなるおもひの、筆
執
(
と
)
ればこの
紙面
(
しめん
)
にも浮びてありありと見え候。いかに貴下、さやうに候はずや。
凱旋祭
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
一
常用漢字
小1
部首:⼀
1画
幅
常用漢字
中学
部首:⼱
12画
“一幅”で始まる語句
一幅淞波