一寸ちょっ)” の例文
夫も詳しくは覚えぬと云いますけれどどうだか顔が面長くて別に是と云う癖も無く一寸ちょっと見覚えの出来にくい恰好だッたと申ます
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
と双方とも丸でからッきし夢中で居りますると、こゝに一つの難儀がおこりますくだり一寸ちょっと一服いたして申し上げましょう。
一寸ちょっと君、一寸と『馬鹿野郎!』というような心持というのが僕には了解が出来ないが……そのどういうんだね?」
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
イワンは一寸ちょっと顔を赤くした。そうして特に見知り越しの私たちの眼と眼とぶつかると、莞爾かんじとして片手をあげた。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
そしてそれが常緑の葉と相映じてらくという立派さ、一寸ちょっと他に類の無い花木である。
植物記 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
一寸ちょっと文呈上候。秋暑之処御安全慶賀之いたりに候。さて先般は御来車被下くだされかつ御土産に預り候所、足痛にて御目にかゝり不申もうさず、失礼致候。其後御書面にもあずかり候所、平臥へいがゆえ御無音申候。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
いよ/\船の仕度したくも出来て帰ると云う時に、軍艦の修覆その他の入用にゅうようを払いたいと云うと、彼方あっちの人はわらって居る。代金などゝは何の事だと云うような調子で一寸ちょっとも話にならない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「大変な清教徒ピュリタンだ!」と松木が又た口を入れたのを、上村は一寸ちょっあごで止めて、ウイスキーをめながら
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
きかせて彼れが探り得たる所を探り得んと茲に来りし者なるし去れど谷間田は小使いより聞得し事ありて再び大鞆に胸中の秘密を語らじと思える者なれば一寸ちょっと大鞆の顔を
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
腫物しゅもつが出来ても針をすることはず見合せたいとい、一寸ちょっとした怪我でも血が出ると顔色がんしょくが青くなる。毎度都会の地にある行倒ゆきだおれ首縊くびくくり、変死人などは何としても見ることが出来ない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
侍「コレ/\一寸ちょっと此処へ来い」
何うしても谷間田は経験が詰んで居るだけ違います今其意見の大略あらましを聞てほと/\感心しました(荻)そりゃなア何うしても永年此道で苦労して居るから一寸ちょっと感心させる様な事を
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「まアどうして」とお源は水を汲む手を一寸ちょっと休めて振り向いた。
竹の木戸 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
門口かどぐちまで送り、母なる人が一寸ちょっと上って茶を飲めと勧めたを辞し自宅へと帰路にきましたが、或むずかしなぞをかけられ、それを解くと自分の運命の悲痛がことごと了解わかりでもするといったような心持がして
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
内儀ないぎ一寸ちょっと呼で呉れ下「内儀おかみさんはう出て仕舞いましたよ」目科は驚きたる風を示し「其様な筈は無いよお前先程来た己の顔を忘れたな下「いえ爾では有ませんが、全く内儀おかみさんは出て仕舞たのです、 ...
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
我手にもてる呼出状を一寸ちょっと眺めて
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)