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みやうてう
云聞せ
明朝は其家に至り尋ぬべしと云れたり
翌朝夫婦共に彼是と
世話し
件の
茗荷屋源兵衞の町所を
委く
書認めて渡されしにぞ寶澤は
態と
嬉げに書付を
「
今夜は
未だ
見解も
出來ないかも
知れませんから、
明朝か
明晩御誘ひ
申しませう」と
親切に
云つて
呉れた。
此処でさん/″\
待たせられて、
彼此三四十
分暗黒の
中に
立つた
後、
漸く
桟橋の
外に
出ることが
出来た。
持ち
出したのは
形ばかりの
小さな
手荷物で、
大きなトランクは
明朝取りに
来いとのことだ。
定め當年十一歳なる
悴忠右衞門を
呼出し
委細に
言含め又家中一同を呼出して今宵は
通夜を致し
明朝六ツの時計を
蒙るとも
明朝は未明に登城に及び
直々將軍家に願ひ奉るより
外なしと思案を
極め家來を呼び出され
明朝は六時の御
太鼓を
相※に登城致す
間其用意いたすべしと云付けられたり