“まつげ”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:マツゲ
語句割合
睫毛79.4%
17.0%
瞼毛1.7%
眶毛1.0%
眼睫0.2%
捲毛0.2%
捷毛0.2%
晴毛0.2%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
お綱は情熱と理智のたたかいにもまれて、固く睫毛まつげをふさいでいた。弦之丞には、静かに眠っているふうをよそおっている心の奥で——。
鳴門秘帖:05 剣山の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
奇麗に囲う二重ふたえまぶたは、涼しいひとみを、長いまつげに隠そうとして、上の方から垂れかかる。宗近君はこの睫の奥からしみじみと妹に見られた。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
数々のはじを知らぬ放埒ほうらつな女を見て来続けている山口には、お杉の滑らかに光った淡黒い皮膚や、瞼毛まつげの影にうるみを湛えた黒い眼や、かっちりしまった足や腕などは、忘れられた岩陰で
上海 (新字新仮名) / 横光利一(著)
子を呼べばまばたきすもよこの夜さり谷地やちあしが眶毛まつげなし見ゆ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
くれないは眼のふちを薄く染めて、うるおった眼睫まつげの奥から、人の世を夢の底に吸い込むような光りを中野君の方に注いでいる。高柳君はすわやと思った。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
深い眼睫まつげの奥から、ヴィーナスはけるばかりに見詰められている。ひややかなる石膏せっこうの暖まるほど、まろ乳首ちくびの、呼吸につれて、かすかに動くかとあやしまるるほど、女はひとみらしている。
野分 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
と孔雀は、捲毛まつげの先についていた金雀枝の花弁を湿した口に噛ませて、じっと押し黙ってしまった。その花を、法水がスイと引き抜いて
オフェリヤ殺し (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
ミチ子の捷毛まつげは心配のあまり涙でぬれていました。
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
其様な場合ばあひには、まぶたのはれぼツたいせいか、層波目ふたかわめ屹度きつとふかきざみ込まれて、長い晴毛まつげしたうるみつ。そしてうちえてゐるねつが眼に現はれて來るのでは無いかと思はせる。
平民の娘 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)