“ぼうぼう”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
茫々60.4%
蓬々33.3%
茫茫1.9%
某々1.3%
某某0.6%
丰々0.6%
懵々0.6%
莽々0.6%
蓬蓬0.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
家に伝わる家祖のそんな遺言があるのを知ったのは、当時、兄弟ふたりともまだ二十歳はたちがらみのころだった。茫々ぼうぼう、三十年ぢかい前だった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
私たちは月見草などの蓬々ぼうぼうと浜風に吹かれている砂丘から砂丘を越えて、帰路についた。六甲の山が、青く目の前にそびえていた。
蒼白い月 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
わなになっている縄のはしが野馬の首にかかると力を込めて地上に引き倒し、おのれの馬を棄ててそれに飛び乗り、茫茫ぼうぼうたる曠原こうげんの上を疾走して馬の野性を乗り減らした。
仙術修業 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
ようやく本業の学問にも興味を持ち、金井博士かないはかせの教授振りが大いに気にいって学校へ出るのもおもしろくなった。その間には歌もたくさんできて、某々ぼうぼう雑誌へかかげたうちには恋の歌が多い。
廃める (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
其れが為め翁と政府との間に紛紜ごた/″\が起つて居るのを某某ぼうぼうの名士等が調停にはひつたと云ふ新聞記事が十日ばかり前に出た。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
馬車を四馬路スマロに返して杏花楼きやうくわらう上海シヤンハイ一の支那料理の饗応を受けたが、五十ぴんからの珍味は余りにおほきに過ぎて太半たいはん以上のどを通らず、健啖家けんたんか某某ぼうぼう二君も避易へきえきの様子であつた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
支那西域の庫魯克格クルツクタツクの淡水湖に限って住んでいる、丰々ぼうぼうという毒ある魚の小骨の粉末こなを香に焚いてそれで人間を麻痺させるなんて実際あなたはお怜悧りこうでした。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
曰く、『昼もまた知らざるところありや』と。先生曰く、『なんじよく昼の懵々ぼうぼうとしてき、蠢々しゅんしゅんとして食するを知るのみ。行いて著しからず、習いてつまびらかならず、終日昏々こんこんとして、ただこれ夢の昼なり。 ...
通俗講義 霊魂不滅論 (新字新仮名) / 井上円了(著)
また時には、狸の子供が五六匹、穴の入口で角力などとつて戯れてゐるのを見たことがある。晩秋になると、雑木林の方から枯草莽々ぼうぼうたる私の広い屋敷へ、狸が毎夜遊びにきた。
たぬき汁 (新字旧仮名) / 佐藤垢石(著)
右の眼は初月みかづきのような半眼はんがん、それに蓬蓬ぼうぼうの髪の毛、口は五臓六腑が破れ出た血にまがわして赤い絵具を塗り、その上処どころ濃鼠こいねずの布で膏薬張こうやくばりをしてあった。
お化の面 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)