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じようかく
ですから、
同列車の
乘客の
中で、
停車場を
離れましたのは、
多分私が
一番あとだつたらうと
思ひます。
せめては
四邊に
心を
置きて、
肩身を
狹くすくみ
居たらば、
聊か
恕する
方もあらむ、
遠慮もなく
席を
占めて、
落着き
澄したるが
憎しとて、
乘客の一
人は
衝と
其の
前に
進みて
他には
数うるほどの
乗客もなさゝうな、
余り
寂しさに、——
夏の
夜の
我家を
戸外から
覗くやうに——
恁う
上下を
見渡すと、
可なりの
寄席ほどにむら/\と
込む
室も、さあ、
二つぐらゐはあつたらう。
船が一日遅れたのでマルセエユの
聖誕祭を観ることの出来ないのを洋人の
乗客は残念がつた。