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しゆうじつ
此雪いくばくの
力をつひやし、いくばくの銭を
費し、
終日ほりたる
跡へその夜大雪
降り
夜明て見れば
元のごとし。かゝる時は
主人はさら也、
下人も
頭を
低て
歎息をつくのみ也。
私は
家に
歸り、それより
終日室内に
閉籠つて、
兼てより
企てゝ
居つた
此旅行奇譚の、
今迄の
部分の
編輯に
着手して
本書第三回の「
怪の
船」の
邊まで
認めかけると、
日は
暮れ、
日出雄少年も
稻妻と
遁れさせ
度思ひ此上は家老方へ御
嘆き申より外なしと
豫々心掛居ける中
或日本多家の
長臣都築外記中村
主計用人
笠原常右衞門の三人が
相良の
用達町人
織田七兵衞が
下淀川村の
下屋敷へ參られ
終日饗應になる由を