“くいしば”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
喰切27.8%
22.2%
喰縛16.7%
切緊5.6%
咬切5.6%
喰締5.6%
噛切5.6%
囓切5.6%
食縛5.6%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
ト歯を喰切くいしばッて口惜くちおしがる。その顔を横眼でジロリと見たばかりで、お勢はすまアし切ッて座舗を立出でてしまッた。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
アンドレイ、エヒミチはうんざりして、長椅子ながいすうえよこになり、倚掛よりかかりほうついかおけたまま、くいしばって、とも喋喋べらべらしゃべるのを詮方せんかたなくいている。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ずや北斎は獄門にかけたる罪囚の梟首きょうしゅに対して、その乱れたる長き頭髪は苦悩の汗にれ、喰縛くいしばりたるくちびるより真白き歯の露出せるさまを見ても、なほかつ平然としてこれを写生せるが如き
江戸芸術論 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
いや、驚くまい事か、糸もばちほうり出して、すがりついて介抱をしたんだけれども、歯を切緊くいしばってしまったから、遊女おいらん空癪そらしゃくを扱うようなわけにはかない。
式部小路 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
... われを射んとしたりしかど。此度こたびもその矢われには当らず、肩のあたりをかすらして、後の木根きのねに立ちしのみ」ト。聞くに聴水は歯を咬切くいしば
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
手拭の運動につれて、圭さんの太いまゆがくしゃりと寄って来る。鼻の穴が三角形に膨脹ぼうちょうして、小鼻がぼっとして左右に展開する。口は腹を切る時のように堅く喰締くいしばったまま、両耳の方までけてくる。
二百十日 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
なかばまで言切らぬ内、文三は血相を変てツと身を起し、ツカツカと座舗ざしきを立出でて我子舎へやへ戻り、机の前にブッ座ッて歯を噛切くいしばッての悔涙くやしなみだ、ハラハラと膝へこぼした。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
トいって歯を囓切くいしばッて差俯向さしうつむく。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
人々はわやわや云いながらお杉の周囲まわりに群れあつまると、ばばあは歯を食縛くいしばって正体もない。巡査は小膝を突いて抱え上げた。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)