もの)” の例文
能登のとの「ワゲシ」はもつともこれにちかおんいうする鳳(フング)至(シ)の二によつてしめされたのが、いまは「ホーシ」とものがある。
国語尊重 (旧字旧仮名) / 伊東忠太(著)
(四三)しんへいは、もと(四四)悍勇かんゆうにしてせいかろんじ、せいがうしてけふす。たたかもの(四五)其勢そのいきほひつてこれ利導りだうす。
さてはや、念佛ねんぶつ題目だいもく大聲おほごゑ鯨波ときこゑげてうなつてたが、やがてそれくやうによわつてしまふ。取亂とりみださぬもの一人ひとりもない。
旅僧 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
あゝ孤獨こどく落魄らくばくこれが僕の運命うんめいだ。僕見たいなものが家庭を組織そしきしたら何うだらう。つまにはなげきをには悲しみをあたへるばかりだ。
虚弱 (旧字旧仮名) / 三島霜川(著)
じつおどろきました、んなお丈夫ぢやうぶさまなおかたうして御死去おなくなりになつたかとつて、宿やどものよろしうまうしました、さぞ力落ちからおとしで……。
明治の地獄 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
たれも爲るものるまじと思ひしきりかなしく心は後へひかれながら既に奉行所ぶぎやうしよへ來り白洲しらす引居ひきすゑられたり此日伊勢屋三郎兵衞方にては彼旅僧を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
とにかく相手は学界でも特に有名なかわものなんだから、君の美貌びぼうと、例のサービスとを武器として、なんとか記事にしてきて貰いたい。
遊星植民説 (新字新仮名) / 海野十三(著)
「おじいさんは、おひとりで、おさびしくありませんか?」と、ひともののおじいさんのうえおもって、なぐさめるものがあると
夏とおじいさん (新字新仮名) / 小川未明(著)
わたくしじゆく御存知ごぞんちとほ高等女學校卒業以上かうとうぢよがくかうそつげふいじやう程度ていどもの入學にふがくせしめるので、女子ぢよし普通教育ふつうけういくはまづをはつたものとなければなりません。
女教邇言 (旧字旧仮名) / 津田梅子(著)
見榮坊みえばう! には見榮みえをんなものつたり、らなかつたりするもの澤山たくさんある。ぼくこゝろからこのまづしい贈物おくりもの我愛わがあいする田舍娘ゐなかむすめ呈上ていじやうする!
湯ヶ原より (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
天竺てんじくでも、シナでも、一山かにかくれればもうだれもいかけてものはなかったのですが、こんどはそういきませんでした。
殺生石 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
そんなことをしているあいだに、かねをのせた牛車ぎゅうしゃはもうしんたのむねをおりてしまっていた。五ねん以上いじょうものは、がせいてたまらなかった。
ごんごろ鐘 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
迷の羈絆きづな目に見えねば、勇士の刃も切らんにすべなく、あはれや、鬼もひしがんず六波羅一のがうもの何時いつにか戀のやつことなりすましぬ。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
役者の紋をつけた双子縞ふたこじまの羽織は着ているが、どこか近在の者ででもあるらしい身体付から顔立まで芝居ものらしい所は少しもない。
雪解 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
じつまをすとわたしうたがつてゐるのです。しかもつとも、わたくし或時あるときなんもののやうなかんじもするですがな。れは時時とき/″\おもことがあるです。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
本邦に例の多かった大工の棟梁の娘が大名の御部屋おへやとなり、魚売りの娘がその棟梁のかこものとなりていずれも出世と心得たに異ならぬ。
領主 ロミオはチッバルトを、チッバルトはマーキューシオーをころしたとすれば、マーキューシオーのつぐなふべきものれぢゃ?
花隈はなくまくまというと、この辺の漁村や町では、こわがられている親分である。もうひとりは生田いくたの万とかいう精猛せいもうなるなまものであった。
梅里先生行状記 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ガンたちの中には、いままで、そこにいったことのあるものはありませんでしたが、灰色ガンたちが、ていねいに道を教えてくれました。
「そんだが、旦那だんなはたいしたもんでがすね、旦那だんないたんだつてつたらなあ」とかれさらいてつた近所きんじよものかへりみていつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
両者の関係はちょうど夫婦のようなもので、世には、もの夫婦もあれば、いかにしても釣合いの説明できぬような場合も少なくない。
自警録 (新字新仮名) / 新渡戸稲造(著)
とまつとつちやいかん。ようのないものはずんずん前進ぜんしんする‥‥」と、さわぎの最中さいちう小隊長せうたいちやう大島少尉おほしませうゐががみがみしたこゑ呶鳴どなつた。
一兵卒と銃 (旧字旧仮名) / 南部修太郎(著)
この八月はちがつ十五日じゆうごにちにはてんからむかへのものるとまをしてをりますが、そのときには人數にんずをおつかはしになつて、つきみやこ人々ひと/″\つかまへてくださいませ
竹取物語 (旧字旧仮名) / 和田万吉(著)
みちのつよきひとなればむなぐるしさえがたうて、まくら小抱卷こがいまき仮初かりそめにふしたまひしを、小間こまづかひのよねよりほか、えてものあらざりき。
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
松住町まつずみちょうじゃねえぜ。あさっぱらから、素人芝居しろうとしばい稽古けいこでもなかろう。いいわけものがひとりごとをいってるなんざ、みっともねえじゃねえか」
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
けつしておろかなる船長せんちやうふがごとき、怨靈おんれうとかうみ怪物ばけものとかいふやう得可うべからざるものひかりではなく、りよくこう兩燈りようとうたしかふね舷燈げんとう
しよかうとしたときに、あいちやんは王樣わうさま小聲こゞゑで、一たい仲間なかまものどもにはれるのをきました、『みん放免はうめんする』
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
すべひとたるものつね物事ものごとこゝろとゞめ、あたらしきことおこることあらば、何故なにゆゑありてかゝこと出來できしやと、よく其本そのもと詮索せんさくせざるべからず。
改暦弁 (旧字旧仮名) / 福沢諭吉(著)
おそろしいちからがあって、世間せけんからこわがられている一人ひとり魔女まじょでしたから、誰一人たれひとりなかへはいろうというものはありませんでした。
同時代どうじだい解釋かいしやくくだされたのである、すこしく考古趣味かうこしゆみいうするものは、へんだなとおもはざるをないのであるが、それにはまたそれだけの理由りゆうる。
どうもこうもござんせぬ。あッし共風情ふぜいものじゃどうにも手に負えねえことが出来ましたんで、ぜひにも殿様にお力を
田舎ものの三四郎にはてつきり其所そこ気取けどる事は出来なかつたが、たゞ読んだあとで、自分の心をさぐつて見て何所どこかに不満足がある様に覚えた。
三四郎 (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
伯父の世話で大きくなったのですが、その伯父もひとものなんです。伯母は早くなくなったのです。この伯父とぼくは、まったく気が合わないのです。
女妖:01 前篇 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
それはまだたまごからいくらもたない子雁こがんで、たいそうこましゃくれものでしたが、その一方いっぽう子家鴨こあひるむかってうのに
いずれにしてもわたくしのような強情かたくなものは、現世げんせってはひとにくまれ、幽界ゆうかいては地獄じごくおとされ、たいへんにそんでございます。
その頂上てうじやうにはふるむかしから、大理石だいりせきのやうにかたくて真白ましろゆきこほりついてゐて、かべのやうにそゝりつ、そこまで、まだ誰一人だれひとりのぼつたものがない。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
飯粒めしつぶらるゝ鮒男ふなをとこがヤレ才子さいしぢや怜悧者りこうものぢやとめそやされ、たまさかきた精神せいしんものあればかへつ木偶でくのあしらひせらるゝ事沙汰さたかぎりなり。
為文学者経 (新字旧仮名) / 内田魯庵三文字屋金平(著)
「あれ以来、人足どもも大分おとなしくなりましたが、やっぱり気の荒い郡内のあぶものでござるから、おりおり旅人が難儀する由でござりまする」
「こいつあ、人間にんげんのあるものによくてけつかる。それもことならいいが、ろくでもねえところなんだから、たまらねえ」
ちるちる・みちる (旧字旧仮名) / 山村暮鳥(著)
されば此地にては疱瘡はうそうするもの甚だまれ也、十年に一人あるかなしか也とかたれり。さて清水川原の村にいたりしに家二軒あり。
というのは、それはクシベシという、貧乏は貧乏なのですが、それというのも、その男は大変ななまもので、そして心のくないアイヌだったのです。
蕗の下の神様 (新字新仮名) / 宇野浩二(著)
わたしめる時分じぶんには、だれわたしふことを本當ほんたうにしてれるものはありませんでした。御覽ごらんとほり、わたしいま、お稻荷いなりさまのやしろ番人ばんにんをしてます。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
其れだからこの附髷つけまげや帽の流行品などに浮身うきみをやつして食べる物も食べずに若じにをする独身ものもあると云ふことである。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
B ところが、のごろチラといたはなしだが、みぎのハガキ運動うんどう選擧權擴張せんきよけんくわくちやう要求えうきう應用おうようしかけてゐるものがあるさうだ。
ハガキ運動 (旧字旧仮名) / 堺利彦(著)
ですが誰でも落度は有るものそれに若い頃の商売が商売で女には彼是かれこれ云れた方ですから言えば無理も有りますまいが
血の文字 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
この時戰慄をのゝくものことばをついでいひけるは、汝等トスカーナまたはロムバルディアの者をみまたはそのいふ事を聞かんと思はゞ我彼等を來らせん 九七—九九
神曲:01 地獄 (旧字旧仮名) / アリギエリ・ダンテ(著)
また誰に向っても、「萩原はぎわらの武太郎は、五宿へ往って女郎買じょろうかいばかしするやくざもので」と其亭主の事を訴える。武太さんは村で折紙おりがみつきのヤクザ者である。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
「さうですな…………」妻子を国に置いて本社の独身ものの寮舎に起臥してゐるBは、いくらか皮肉な調子で
アカシヤの花 (新字旧仮名) / 田山花袋田山録弥(著)
それはキリストけう教會けうくわい附屬ふぞく病院びやうゐんなので、そのこといては、大分だいぶ異議いぎ持出もちだしたものもあつたが、この場合ばあひこくも、病人びやうにん見過みすごしてことはできなかつた。
彼女こゝに眠る (旧字旧仮名) / 若杉鳥子(著)
今に浮浪民のことをサンカものと呼ぶ地方のあるのは、「坂の者」、すなわち「サンカ者」の訛りであります。