黒目勝くろめがち)” の例文
黒目勝くろめがちすずしやかに、美しくすなおな眉の、濃きにや過ぐると煙ったのは、五日月いつかづき青柳あおやぎの影やや深き趣あり。浦子というは二十七。
悪獣篇 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それと違って、スカンクスの奥さんはすごいような美人で、鼻は高過ぎる程高く、切目の長い黒目勝くろめがちの目に、有り余るこびがある。
青年 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
黒目勝くろめがちな、意味の深い、活々いきいきとしたひとみに映ると、何思ひけむ、紫ぐるみ、本に添へて、すらすらと持つて椅子に帰つた。
印度更紗 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
黒目勝くろめがちな、意味いみふかい、活々いき/\としたひとみうつると、なにおもひけむ、むらさきぐるみ、ほんへて、すらすらとつて椅子いすかへつた。
印度更紗 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
らふ白粉おしろいした、ほとんいろのないかほ真向まむきに、ぱつちりとした二重瞼ふたへまぶた黒目勝くろめがちなのを一杯いつぱいみひらいて、またゝきもしないまで。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
のですが、それが、黒目勝くろめがちさうひとみをぱつちりとけてる……に、此處こゝころされるのだらう、とあまりのことおもひましたから、此方こつちじつ凝視みつめました。
人魚の祠 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
と、櫛巻くしまきの其の水々みずみずとあるのを、がつくりとひたいゆるばかり、仰いで黒目勝くろめがちすずしひとみじっと、凝視みつめた。
貴婦人 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)