かさゝぎ)” の例文
それは白雲の瀧といふので、その瀧の末の流れをかさゝぎの橋によつて渡つて對岸へ路はつゞく。橋の上は丁度白雲の瀧を見るによい。
華厳滝 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
かさゝぎ一羽でも、兎一疋でも、己の前は素通りはさせない。樺太から来た奴なんぞを見逭みのがしてなるものかと、不断言つてゐるさうだ。
門外おもてみちは、弓形ゆみなり一條ひとすぢ、ほの/″\としろく、比企ひきやつやまから由井ゆゐはま磯際いそぎはまで、なゝめかさゝぎはしわたしたやうなり
星あかり (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
元朝のフレスコ風の雪のなかから、かさゝぎのやうに雪をかついできた郵便配達夫は、わたしに「おめでたう」といつた。かれはわたしの掌に、書翰の一束を落としてすぎる。
希臘十字 (新字旧仮名) / 高祖保(著)
このはなしは一どういちじるしき感動かんどうあたへました。なかには遁出にげだしたとりさへあり、年老としとつた一かさゝぎ用心深ようじんぶかくも身仕舞みじまひして、『うちかへらう、夜露よつゆ咽喉のどどくだ!』としました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
かさゝぎの飛翔の道は
詩集夏花 (新字旧仮名) / 伊東静雄(著)
 元住吉の野なか、車中からわたしは一羽のかさゝぎをみとめた。痩身長脚、羽根は霜を浴びたほどに白い。——たかい野のけやきにとまるとき、それは樹をひきたたせる頭飾りぼんとなつた。
(新字旧仮名) / 高祖保(著)