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饌
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ぜん
ふりがな文庫
“
饌
(
ぜん
)” の例文
「おまえにもよろしく。場所が変わるから、持病の起こらぬように用心おしっておっしゃってよ」と「浪さん」は
饌
(
ぜん
)
を運べる老女を顧みつ。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
それは栄玄が
饌
(
ぜん
)
に対して
奢侈
(
しゃし
)
を戒めたことが数次であったからである。抽斎は遺られた所の海鰱を
饗
(
きょう
)
することを命じた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
諸君と共に二列に差向って、
饌
(
ぜん
)
に就く。大きな黒塗の椀に
堆
(
うずたか
)
く飯を盛ってある。
汁椀
(
しるわん
)
は豆腐と
茄子
(
なす
)
と
油揚
(
あぶらあげ
)
のつゆで、向うに
沢庵
(
たくあん
)
が二切つけてある。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
「そない喰べたら薬
利
(
き
)
けへんよって、二人とも二
饌
(
ぜん
)
以上喰べることならん」
卍
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
腹よく拵へよといふ。若者のかひ/″\しく立ち働きて、忙しげに供ふる
饌
(
ぜん
)
に、われは言はるゝ儘に飢を
凌
(
しの
)
ぎつ。媼は古き外套を肩に被き、手を
把
(
と
)
りて暗き
廊道
(
わたどのみち
)
を引き出でつゝ云ふやう。我雛鷲よ。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
▼ もっと見る
遠く見れば水戸様の
饌
(
ぜん
)
にのりそうな農人形が、膝まで泥に踏み込んで、柄の長い
馬鍬
(
まんが
)
を泥に打込んでは
曳
(
えい
)
やっと
捏
(
こ
)
ね、また打込んでは曳やっとひく。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
小川は急所を突かれたとでも云うような様子で、今まで元気の好かったのに似ず、しょげ返って、
饌
(
ぜん
)
の上の杯を手に取ったのさえ、てれ隠しではないかと思われた。
鼠坂
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
絶えて久しきわが家の
風呂
(
ふろ
)
に入りて、うずたかき
蒲団
(
ふとん
)
に
安坐
(
あんざ
)
して、好める
饌
(
ぜん
)
に向かいて、さて釣り床ならぬ黒ビロードの
括
(
くく
)
り
枕
(
まくら
)
に疲れし
頭
(
かしら
)
を横たえて、しかも夢は結ばれず
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
次に
驕奢
(
けうしや
)
の跡が認められる。調度や衣服が次第に立派になつて、日々の
饌
(
ぜん
)
も獻立がむづかしくなつた。
栗山大膳
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
夕飯
(
ゆうめし
)
の
饌
(
ぜん
)
に附けてあった、
厭
(
いや
)
な酒を二三杯飲んだので、息が酒の香がするからだろうかと思う。飲まなければ
好
(
よ
)
かったに、
咽
(
のど
)
が乾いていたもんだから、つい飲んだのを後悔する。
蛇
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
この間は家人を戒めて何の用事をも取り次がしめなかった。来客もそのまま待たせられることになっていた。誦経が
畢
(
おわ
)
って、髪を結わせた。それから
朝餉
(
あさげ
)
の
饌
(
ぜん
)
に向った。饌には必ず酒を設けさせた。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
八月二十二日に抽斎は常の如く
晩餐
(
ばんさん
)
の
饌
(
ぜん
)
に向った。しかし五百が酒を
侑
(
すす
)
めた時、抽斎は
下物
(
げぶつ
)
の
魚膾
(
さしみ
)
に
箸
(
はし
)
を
下
(
くだ
)
さなかった。「なぜ
上
(
あが
)
らないのです」と問うと、「少し腹工合が悪いからよそう」といった。
渋江抽斎
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
饌
漢検1級
部首:⾷
21画
“饌”を含む語句
御饌
神饌
酒饌
食饌
饗饌
飲饌
肴饌
供饌
珍饌
佳饌
上饌
朝御饌
饌立
饌用
豊饌
美饌
神饌所
有酒食先生饌
御饌粒
御饌神
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