ぱん)” の例文
勘次かんじ近所きんじよ姻戚みよりとのほかには一ぱんさなかつたがそれでもむらのものはみなせんづゝつてくやみにた。さうしてさつさとかへつてつた。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
つねには、一ぱんを分けあって起きしする友であるが、いまは、御岳の神縄をかりて捕りおさえにきた小幡民部。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
七九ぱんをわけて、ともに過活わたらひのはかりごとあらんと、たのみある詞に心おちゐて、ここに住むべきに定めける。彦六、我が住むとなりなる破屋あれやをかりて住ましめ、友得たりとてよろこびけり。
こひしに内よりは大音にて何者なにものなるや内へ這入はいるべしといふ吉兵衞大いによろこび内へ入りて申やう私し儀は肥後國ひごのくに熊本の者なるが今日の大雪おほゆきみち踏迷ふみまよ難澁なんじふいたす者なり何卒なにとぞなさけにて一宿しゆくぱん御惠おんめぐみ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
けれど、一ぱんの尊さは、一粒の米でも一くきの野菜でも、自分でつくってみて初めてわかることである。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)