風船ふうせん)” の例文
彌次郎やじらう時代じだいにはゆめにも室氣枕くうきまくらことなどはおもふまい、と其處等そこいらみまはすと、また一人々々ひとり/\が、風船ふうせんあたまくゝつて、ふはり/\といてかたちもある。
大阪まで (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
宗助そうすけは一せんりんして、その風船ふうせんひとつて、しゆつとちゞましてもらつて、それをたもとれた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
『やア、大佐たいさ叔父おぢさんが、風船ふうせんたすけにたんだよ/\。』と日出雄少年ひでをせうねん雀躍じやくやくした。
並木も泣きながら、彼もまた八津の目にふれぬようにしまいこんであった大事な色紙をもってきて、つるやっこ風船ふうせんを折って入れた。そんなものをもって、八津は死出しで旅路たびじについたのである。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
白牡丹はくぼたん這入はいつて、景物けいぶつ金時計きんどけいでもらうとおもつたが、なにふものがなかつたので、仕方しかたなしにすゞいた御手玉おてだま一箱ひとはこつて、さうしていく百となく器械きかいあげられる風船ふうせんひとつかんだら
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)