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難癖
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なんくせ
ふりがな文庫
“
難癖
(
なんくせ
)” の例文
誘
(
さそ
)
はれるともなく、平次も飛出しましたが、その時は、もう二人の浪人は旅籠屋に
難癖
(
なんくせ
)
をつけて、何處ともなく立去つた後でした。
銭形平次捕物控:082 お局お六
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
弘化元年三月二十五日辰の刻生れまで言われてしまったのでは、戸籍役人としても、このうえ
難癖
(
なんくせ
)
のつけようがないではないか。
大菩薩峠:31 勿来の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「お助け下さいまし、今あちらで、投扇興をしておりますと、廊下を通りかかった悪いやつが、その扇がぶつかッたと、お嬢様に
難癖
(
なんくせ
)
をつけて」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それを覚らない人は
不知不識
(
しらずしらず
)
現代の生活から孤立して、偏したり、僻んだり、なんでも新しい世態に
難癖
(
なんくせ
)
を附けたりする保守気質の人になつて仕舞ふ。
台風
(新字旧仮名)
/
与謝野晶子
(著)
要するに
難癖
(
なんくせ
)
だから、喬之助は、おとなしく平伏したまま無言でいた。で、いくらこっちばかり一人で怒っても、相手が黙り込んでいるのでは、喧嘩にならない。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
と言って、私はマネット先生に何も
難癖
(
なんくせ
)
をつけるんじゃありません。ただ、あの
方
(
かた
)
だってああいうお嬢さまにはふさわしくないということだけを別にすればですがね。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
いか銀が
難癖
(
なんくせ
)
をつけて、おれを追い出すかと思うと、すぐ野だ公が
入
(
い
)
れ
替
(
かわ
)
ったり——どう考えてもあてにならない。こんな事を清にかいてやったら定めて驚く事だろう。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
進級生たちに何かと
難癖
(
なんくせ
)
をつけて見たいだろうし、その進級生全部の犠牲になって
槍玉
(
やりだま
)
にあげられたのは清国留学生の周さんだ、と言えない事もない状態であったのである。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
すると親爺は俺はそんなことを云った覚えはないと真顔で否定した。おかみさんも「この人はとてもがらが悪いんですよ。新聞を取らないからって
難癖
(
なんくせ
)
をつけに来たんです。」
安い頭
(新字新仮名)
/
小山清
(著)
会社へつけばオイ子供お茶をもてなど威張り返つてお湯がぬるいなど
難癖
(
なんくせ
)
をつけ忽ち生涯の禍根をつくり、さて又相好くづして恋人の手を握つたりセンチなシャンソン唄つたり
総理大臣が貰つた手紙の話
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
「あなたは頭が悪いのね。そういう
難癖
(
なんくせ
)
のつけ方は、何といってもフェアじゃないわ」
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
何とか
難癖
(
なんくせ
)
をつけては、わざと、新聞を届けるのを遅らせたりなんかするのであった。
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
才次は宗旨などどうでもいいので、妹が友だちの耶蘇信者が女学校で死んだ時の儀式の様子を話すのを
難癖
(
なんくせ
)
をつけずに聞いていたが、やがて、さっき言おうとしたことに話を戻して
入江のほとり
(新字新仮名)
/
正宗白鳥
(著)
それをあぶながり、または
難癖
(
なんくせ
)
をつけるような、老成人風の批判ならば、まだ幾らでも出てくることと思うが、私だけは国の学問の前途のために、そういう消極主義に
与
(
く
)
みしたくない。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
この間も寛畝を好きだという人が印譜から写真にしたものやら持ってきて、較べてみていたが、しまいにこの寛畝の畝の字に疑問な点があるとか言って
難癖
(
なんくせ
)
をつけて、それでおじゃんさ。
贋物
(新字新仮名)
/
葛西善蔵
(著)
ある人々はめずらしく早く起きると朝焼けの
茜色
(
あかねいろ
)
に
難癖
(
なんくせ
)
をつけるかもしれない。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
立派に
布施
(
ふせ
)
も置いて帰ろう、しかし、正面から僧の前へ出しては、
復
(
ま
)
た何とか
難癖
(
なんくせ
)
をつけて押し返されないとも限らないので、布施は今の内に出して置いて、僧が帰り次第に帰ろうと思った。
竈の中の顔
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
これはイエスの言を曲げ、言いもしなかったことを言われたように
誣
(
あざむ
)
いたのです。彼らはイエスを滅ぼすことを目的としているのだから、有ったこと無かったこと、いかようにでも
難癖
(
なんくせ
)
をつける。
イエス伝:マルコ伝による
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
そこで、劉は張と連れ立ってその催促にゆくと、彼はそれを素直に支払わないばかりか、種々の
難癖
(
なんくせ
)
をつけて
逆捻
(
さかね
)
じに劉を罵りました。劉は黙ってそのまま帰って来ましたが、あとで張に話しました。
中国怪奇小説集:09 稽神録(宋)
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
難癖
(
なんくせ
)
をつけて追出すことを考へた、——
賣女根性
(
ばいたこんじやう
)
の——江戸一番の性惡娘を、この錦太郎に押し付け、
嫌應
(
いやおう
)
言はせぬ祝言させようといふのは、皆んなそのためだ。
銭形平次捕物控:100 ガラツ八祝言
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
たまに正直な
純粋
(
じゅんすい
)
な人を見ると、
坊
(
ぼ
)
っちゃんだの
小僧
(
こぞう
)
だのと
難癖
(
なんくせ
)
をつけて
軽蔑
(
けいべつ
)
する。それじゃ小学校や中学校で
嘘
(
うそ
)
をつくな、正直にしろと
倫理
(
りんり
)
の先生が教えない方がいい。
坊っちゃん
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
この
晴
(
は
)
れがましい、
大講会
(
だいこうえ
)
の
広前
(
ひろまえ
)
で、かたく、
約
(
やく
)
をむすんだ
試合
(
しあい
)
ながら、さまざまに
難癖
(
なんくせ
)
をつけたあげく、その
裏
(
うら
)
をかいて、
咲耶子
(
さくやこ
)
のすがたを
隠
(
かく
)
してしまうという
言語道断
(
ごんごどうだん
)
な
行
(
おこな
)
いを
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
負けたがゆえに
理
(
り
)
のないところへ理をつけた
難癖
(
なんくせ
)
である。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“難癖”の意味
《名詞》
無理に見つけてきた非難すべき悪い点。欠点。
(出典:Wiktionary)
難
常用漢字
小6
部首:⾫
18画
癖
常用漢字
中学
部首:⽧
18画
“難癖”で始まる語句
難癖言掛