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雑沓
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ざつたふ
ふりがな文庫
“
雑沓
(
ざつたふ
)” の例文
旧字:
雜沓
ドオモの前の広場には
伊太利
(
イタリイ
)
皇帝としての
奈破翁
(
ナポレオン
)
の騎馬の記念銅像があり、
其処
(
そこ
)
が各所に通ずる電車の交叉点
丈
(
だけ
)
に人と車で
雑沓
(
ざつたふ
)
を極めて居る。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
先刻
(
さつき
)
から三人四人と絶えず
上
(
あが
)
つて来る見物人で
大向
(
おほむかう
)
はかなり
雑沓
(
ざつたふ
)
して来た。
前
(
まへ
)
の
幕
(
まく
)
から
居残
(
ゐのこ
)
つてゐる
連中
(
れんぢゆう
)
には待ちくたびれて手を
鳴
(
なら
)
すものもある。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
外の世界は今
雑沓
(
ざつたふ
)
と
喧騒
(
けんさう
)
とに
充
(
み
)
たされてゐる。併しこゝの事務所はひつそりして
倦怠
(
けんたい
)
と無為とが漂つてゐる。
手品師
(新字旧仮名)
/
久米正雄
(著)
避暑客の込合ふ季節なので、停車場は
可也
(
かなり
)
雑沓
(
ざつたふ
)
してゐたが、さうして独りで旅をする気持は可也心細かつた。
或売笑婦の話
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
池袋の駅で富岡に別れたが、富岡はすぐ
雑沓
(
ざつたふ
)
の中へまぎれ込んで行つた。ゆき子は心細い気がして、暫くホームの柱に
凭
(
もた
)
れて、電車から吐き出される人や、乗り込む人の波をみつめてゐた。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
▼ もっと見る
それに引き替へ革命軍事成功祝賀会の準備で
雑沓
(
ざつたふ
)
してゐた。
南京六月祭
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
秋の日曜日の
雑沓
(
ざつたふ
)
を恐るる象
北原白秋氏の肖像
(新字旧仮名)
/
木下杢太郎
(著)
いつの
間
(
ま
)
に
掃除
(
さうぢ
)
をしたものか
朝露
(
あさつゆ
)
に
湿
(
しめ
)
つた
小砂利
(
こじやり
)
の上には、
投捨
(
なげす
)
てた
汚
(
きたな
)
い
紙片
(
かみきれ
)
もなく、朝早い
境内
(
けいだい
)
はいつもの
雑沓
(
ざつたふ
)
に引かへて
妙
(
めう
)
に広く
神々
(
かう/″\
)
しく
寂
(
しん
)
としてゐる。
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
十時に物産会社から特に出して
呉
(
く
)
れるランチに乗る迄には四時間以上もあるので、
四馬路
(
スマロ
)
の方へ掛けて
雑沓
(
ざつたふ
)
の中をぶらぶらと
彷徨
(
うろつ
)
き廻つたが容易に時間は経たない。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
自分は
西班牙
(
スペイン
)
の闘牛場の絵を観る様な気持で、其れ等を眺めて通つた。どの街も
雑沓
(
ざつたふ
)
して居たが王宮の
内庭
(
うちには
)
を横断してステフワン
寺
(
じ
)
へ抜ける
間
(
あひだ
)
が
殊
(
こと
)
に甚だしかつた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
お
豊
(
とよ
)
は乗つて来た車から急に
雷門
(
かみなりもん
)
で
下
(
お
)
りた。
仲店
(
なかみせ
)
の
雑沓
(
ざつたふ
)
をも今では
少
(
すこ
)
しも
恐
(
おそ
)
れずに
観音堂
(
くわんおんだう
)
へと急いで、
祈願
(
きぐわん
)
を
凝
(
こら
)
した
後
(
のち
)
に、お
神籤
(
みくじ
)
を引いて見た。古びた
紙片
(
かみきれ
)
に
木版摺
(
もくはんずり
)
で
すみだ川
(新字旧仮名)
/
永井荷風
(著)
“雑沓”の意味
《名詞》
雑沓(ざっとう)
多くの人で混雑すること。そのような場所。ひとごみ。
(出典:Wiktionary)
雑
常用漢字
小5
部首:⾫
14画
沓
漢検準1級
部首:⽔
8画
“雑沓”で始まる語句
雑沓狼藉