のべ)” の例文
取極とりきめて利兵衞は立戻たちもどり其段長八へ物語りしに夫婦は利兵衞のほねをりをねぎらひ厚く禮をぞのべたりけりさて翌日にもなりければ長八は娘お幸を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
翁未だ壮年の勇気をうしなはざれど、生年限りあれば、かねて存命に石碑を建つるの志あり、我が来るを待ちて文をしよくせしめんとの意をのべければ、我は快よく之を諾しぬ
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
それに由り先ず谷間田に逢い彼れがう云う発明をしたか夫を聞た上で自分の意見ものべて見ようと此署を指して宿所を出ました所宿所の前で兼て筆墨初め種々の小間物を
無惨 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
よって試に其大略をのべんに、摸写といえることは実相を仮りて虚相を写し出すということなり。
小説総論 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
かつてわたくしはこの時分の俗曲演劇等の事を論評した時明治十年前後の時代を以て江戸文芸再興の期となしたが、今向島桜花のことをのべるに及んで更にまたその感がある。
向嶋 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
出さぬにははなはこまはてたり何にしても番頭久兵衞と云やつつらにく言葉ことばにものべられず兄さん何か仕方はあるまいかと云ふを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
厚く申のべ澁茶しぶちやながらくみて出しければ長兵衞はコレ/\御構おかまひなさるな時に今日は出初ではじめなるが長八樣はおかへりかと云に女房にようばう宿やどではかへりませんと云へば長兵衞夫は大そうおそい事だ如何して居らるゝやとうはさをりから長八はかへり來りしが親分おやぶん長兵衞の來て居るとはゆめにも知らずオイおうめいまかへりたりヤレ/\今日けふは初めてとは
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)