たけなは)” の例文
銀鞍ぎんあん少年せうねん玉駕ぎよくが佳姫かき、ともに恍惚くわうこつとしてたけなはなるとき陽炎かげろふとばりしづかなるうちに、木蓮もくれんはなひとひとみな乳房ちゝごとこひふくむ。
月令十二態 (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
その家に到り著いたのは、春未だたけなはならざる頃であつただらう。郷を離れてより八年の後であつた。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)
平次は鬱陶うつたうしさうでした。遲れた櫻もようやくほころび始めて、世の中は春たけなはなるべき筈なのに、雪が春先まで降つたのと、薄寒い日が續いたので、江戸の景氣も一向に引立ちません。
翁もたねがへりの数に夢幾度いくたびかとぎれけむ、むく/\と起きて我を呼び、これより談話俳道の事、戯曲の事にたけなはにして、いつるべしとも知られず。われはねむりの成らぬを水のとがに帰して
三日幻境 (新字旧仮名) / 北村透谷(著)
……酒氣しゆき天井てんじやうくのではない、いんこもつてたゝみけこげをころ𢌞まはる。あつかんごと惡醉あくすゐたけなはなる最中さいちう
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
天保七年には春の未だたけなはならぬうちに、柏軒が狩谷棭斎の第二女たか、後の名しゆんめとつたらしい。何故と云ふに、柏の初節句即丙申の三月三日には、たかが家にゐたと伝へられてゐるからである。
伊沢蘭軒 (新字旧仮名) / 森鴎外(著)