ほこさき)” の例文
しかし献身のうちに潜む反抗のほこさきは、いちとことばを交えた佐佐のみではなく、書院にいた役人一同の胸をも刺した。
最後の一句 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
かくありてこそ日本全国に分布ぶんぷせる智徳に力を増して、はじめて西洋諸国の文明とほこさきを争うの場合に至るべきなり。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
少しはほこさきを挫かれたのか、まぶしそうなまたたきを一つすると、『ははあ、そのような高札こうさつが建ちましたか。』
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
それも初めしばしがほどにて、後には癇癪かんしゃくほこさき直接に吾身われに向かうようになりつ。
小説 不如帰  (新字新仮名) / 徳冨蘆花(著)
一枚の火の、丸形に櫓をつつんで飽き足らず、横に這うてひめがきの胸先にかかる。炎は尺を計って左へ左へと延びる。たまたま一陣の風吹いて、逆に舌先を払えば、左へ行くべきほこさきを転じて上に向う。
幻影の盾 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ツェツェス説に鵺ベレロフォンに火を吐き掛けんとした時、ベかねほこさきに鉛を付け置いた鎗をその口に突っ込み、鉛けて鵺を焼き殺したと。また後世飛馬ペガソスを文芸の女神団ムーサの使物とす。
チューデーデースは又次ぎに光る飛刄のほこさきに 820
イーリアス:03 イーリアス (旧字旧仮名) / ホーマー(著)
しかし獻身の中に潜む反抗のほこさきは、いちと語を交へた佐佐のみではなく、書院にゐた役人一同の胸をも刺した。
最後の一句 (旧字旧仮名) / 森鴎外(著)
その筆法は常に婦人の気を引き立つるの勢いを催して、男子の方に筆のほこさきの向かわざりしはと不都合にして、これをたとえば、ここに高きものと低きものと二様ありて
日本男子論 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
父親はおとなしい一方の娘が、めずらしくほこさきを自分に向けたように感じて、不安らしい顔をして娘を見た。
(新字新仮名) / 森鴎外(著)
しかるに講和論者こうわろんじゃたる勝安房かつあわ氏のはいは、幕府の武士用うべからずといい、薩長兵さっちょうへいほこさき敵すべからずといい、社会の安寧あんねい害すべからずといい、主公の身の上あやうしといい
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
外国に関係あらざれば、治も一国内の治なり、乱も一国内の乱なり、またこの治乱を経て失わざりし独立もただ一国内の独立にて、いまだ他に対してほこさきを争いしものにあらず。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
外国とほこさきを争いてごうも譲ることなく、今より数十の新年を経て、顧みて今月今日の有様を回想し、今日の独立を悦ばずしてかえってこれを愍笑びんしょうするの勢いに至るは、あに一大快事ならずや。
学問のすすめ (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
然るに今この家においてはかかる盛大なる国教もその力を伸ぶること能わずして、戸外の公務なるものに逢えばたちまちそのほこさきくじき、質素倹約も顧みるにいとまあらず、飲酒不養生も論ずるに余地なく
教育の事 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ほこさきを海外に争うの勢にいたるべきなり。
学問の独立 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)