釣橋つりばし)” の例文
きやくまへをなぞへに折曲をれまがつて、だら/\くだりの廊下らうかかゝると、もと釣橋つりばししたに、磨硝子すりがらす湯殿ゆどのそこのやうにえて、して、足許あしもときふくらつた。
魔法罎 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
その下に見える釣橋つりばしが戻り橋だ。川向から聞える朝々の鶏の鳴声、毎晩農村にあかりの色、種々いろいろ思いやられる。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
チスター河畔かはんのラブチェ種族 そこには立派な欧州風の鉄橋がかかってある。長さ一町足らずで非常に立派な釣橋つりばしであって、下は余程早川ですから棒杭を立てる訳に行かんようです。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
対岸に見える村落、野趣のある釣橋つりばし、河原つづきの一帯の平地、遠い近い山々——それらの眺望は先生方をよろこばせた。日あたりの好いことも先生方を悦ばせた。
岩石の間 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
むかしは兩岸りやうがん巨木きよぼくて、これふぢつな十條とすぢき、つないたわたしたとふ、いちじるしき由緒ゆゐしよがあつて、いまも古制こせいならつた、てつ釣橋つりばしだとふ……おまけにうたまである。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
鋼鐵かうてつ欄干らんかんのついた釣橋つりばしへ、ゆら/\とつて、スツとつた。
飯坂ゆき (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)