金打きんちょう)” の例文
宜しい手前も武士さむらい金打きんちょう致します…今日はいけません…木刀をして来たから今日は金打は出来ませんが、ほかの様なる証拠でも致します
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
そのことは、大津の宿端れで、由良の伝吉という者からもくわしく承り、いつにても新九郎殿が望みの時機に、立ち合うという金打きんちょうまで与えました。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
金打きんちょう、嘘だとは思わぬ。したが、飢えて泣いているのは、天下、その何十人だけだと思っているのか? 馬鹿っ!
斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
金打きんちょうして、耳もとに叫ぶと法外先生は微笑を洩らしたきり、それなり一言も口をひらかずに、ったのだった。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
莞爾かんじとしてみをのせると、かちりと強く金打きんちょうして見せましたものでしたから、たのもしげな右門のその誓約にようやくお小姓は愁眉しゅうびを開いて、事の子細を打ち明けました。
もし正夢で御病気ならば、御看病申上げて、其後はきっと帰る。金打きんちょう致して誓い申す
死剣と生縄 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
また武士の金打きんちょう同様に女人はこの梛の葉を引きて誓言せり。
神社合祀に関する意見 (新字新仮名) / 南方熊楠(著)
「諾! 金打きんちょう! 範之丞殿!」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
金打きんちょう、嘘だとは思わぬ。したが飢えて泣いているのは、天下、その何十人だけだと思っているのか? 馬鹿っ!
天狗外伝 斬られの仙太 (新字新仮名) / 三好十郎(著)
造酒は、かたわらの愛刀、阪東ばんどうろう幸村ゆきむらって野分のわけの称ある逸剣を取って、ニヤニヤ笑いながら、「金打きんちょうしよう」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
したためてやるは易いが、折あしく、矢立やたて懐紙かいしの用意もないが……む、金打きんちょうしてとらせる」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
飯「そんな事を云っては困るよ、おれがもうけをした、金打きんちょうをしたから仕方がない」
そこの境内に登って、遙か山伏山の裾野の田万里に別れを惜しみ、その時、この三人の間で、出羽殿への復讐を固く誓ったので——神前に額ずいて、三人同時に金打きんちょういたしてござる。
煩悩秘文書 (新字新仮名) / 林不忘(著)
飯「宜しい、差上げましょう、御胡乱ごうろん思召おぼしめすならば金打きんちょうでも致そうかね」
誓紙せいし支度したくひまどるばかり、それよりも武門ぶもん金打きんちょう、おうたがいあるな」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ふたたび劉家や桃花村にはあだをしないという誓いを二人に立てさせ、二人が矢を折ッて、悪党仁義の金打きんちょうをしたのを見ると、りゅう老人を里へ帰し、自分もまた、ひょうとしてここを立ち去ってしまった。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)