醜態ざま)” の例文
巫山戯ふざけた真似をしやあがる。俺が渡さねえようにして置いたのに、船を取りに綱渡りで来やあがるなんて畜生、醜態ざまあ見やあがれ」
死剣と生縄 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
『面喰った醜態ざまったらないね。毒薬と思いきや、ドロップを出されたんで、山猿め、すっかり毒気を抜かれやがった。ハッハハハ』
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
】彼はおずおず鏡に近寄って、ひょいと中をのぞいた。【畜生め! 何という醜態ざまだ!】彼はそう口走って、ペッと唾を吐いた。
(新字新仮名) / ニコライ・ゴーゴリ(著)
醜態ざまを見ろ、従順くなつたらう、野郎我の家へ来い、やい何様した、野郎、やあ此奴は死んだな、詰らなく弱い奴だな、やあい、誰奴どいつか来い
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
『あれ/\、あの醜態ざまよう。』とゆびざ彼方かなた見渡みわたすと、生殘いきのこつたる獅子しゝ一團いちだんは、くもかすみ深林しんりんなか逃失にげうせた。
だ東京の奴等やつらを言ったのサ、名利みょうり汲々きゅうきゅうとしているその醜態ざまは何だ! 馬鹿野郎! 乃公おれを見ろ! という心持サ」と上村もまた真面目で註解ちゅうかいを加えた。
牛肉と馬鈴薯 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
あの時に親方がいて下さらなければ、一座の者は目も当てられない醜態ざまになってしまうところでした
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
ばかばかしい、銭を出して、あの醜態ざまを見せられて、置き去りをうやつもないものだ
義血侠血 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「どう、白状したら……、でも、いい醜態ざまじゃないの。自分がさんざん、罪科つみとがもない人たちを、見下みくだしていたんだからね。その台の下へ、いまに御自分が立つんでしょうからねえ」
地虫 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
「はは、もろい奴じゃ。おのれその醜態ざまで、実雅の悪口いうたか」
玉藻の前 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
醜態ざまを見ろ、おとなしくなったろう、野郎我の家へ来い、やいどうした、野郎、やあこいつは死んだな、つまらなく弱い奴だな、やあい、どいつか来い
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
醜態ざまあ見やあがれ。さあ大廻りしろ。此近くに渡しはねえのだ。俺はこれで溜飲が下ったぞ。これですっかり好い気持だ。どれどれ少し鰻を掻き上げねえと、酒代が出て来ねえや」
死剣と生縄 (新字新仮名) / 江見水蔭(著)
この臆病者等がひるんで動揺どよめく醜態ざまをじろじろ見廻して
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「見られた醜態ざまじゃねえな」
大菩薩峠:31 勿来の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
左様ならと清吉は自己おのが仕事におもむきける、後はひとりで物思ひ、戸外おもてでは無心の児童こども達が独楽戦こまあての遊びに声〻喧しく、一人殺しぢや二人殺しぢや、醜態ざまを見よかたきをとつたぞとわめきちらす。
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
「𤢖はここに居まさあ。御覧なせえまし、醜態ざまだ。」
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
ひとの憂ひ災難を我が茶受とし、醜態ざまを見よ馬鹿慾から芝居の金主して何某め痛い目に逢ふたるなるべし、さても笑止彼の小屋の潰れ方はよ、又日頃より小面憎かりし横町の生花の宗匠が二階
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)
さようならと清吉は自己おのが仕事におもむきける、後はひとりで物思い、戸外おもてでは無心の児童こどもたちが独楽戦こまあての遊びに声々かしましく、一人殺しじゃ二人殺しじゃ、醜態ざまを見よかたきをとったぞとわめきちらす。
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ひとの憂い災難をわが茶受けとし、醜態ざまを見よ馬鹿欲から芝居の金主して何某なにがしめ痛い目に逢うたるなるべし、さても笑止あの小屋のつぶれ方はよ、また日ごろより小面憎かりし横町の生花の宗匠が二階
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)