トップ
>
遠見
>
とおみ
ふりがな文庫
“
遠見
(
とおみ
)” の例文
或る日、私は、
遠見
(
とおみ
)
からこれを見て、一体どんな容子に見えるものだろうと思いましたので、上野の山へ行って見ました。
幕末維新懐古談:63 佐竹の原へ大仏を拵えたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
細君はお
兼
(
かね
)
さんと云って、
器量
(
きりょう
)
はそれほどでもないが、色の白い、皮膚の
滑
(
なめ
)
らかな、
遠見
(
とおみ
)
の大変好い女であった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
酔っぱらいの様になった格二郎の前を、背景の、山や川や海や、木立や、洋館の
遠見
(
とおみ
)
なぞが、丁度汽車の窓から見る様に、うしろへ、うしろへと走り過ぎた。
木馬は廻る
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
寛保
(
かんぽう
)
延享
(
えんきょう
)
の頃の
漆絵
(
うるしえ
)
紅絵
(
べにえ
)
には早くも西洋風の遠近法を用ひて
巧
(
たくみ
)
に
遠見
(
とおみ
)
の景色と人物群集の
状
(
じょう
)
とを描き
出
(
いだ
)
せり。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
遠見
(
とおみ
)
にはうまく隠してあるが、そこへ往って見ると、美などと云うものをば少しも知らない奴どもがうようよ、ごたごたと、味もそっけもなく充満しているんだ。
チチアンの死
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
▼ もっと見る
一方、
群集
(
ぐんしゅう
)
のほうでは、
矢来越
(
やらいご
)
しに
遠見
(
とおみ
)
なので、こうした
事情
(
じじょう
)
が、そこに起っているとはわからない。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
むかしの
正本
(
しょうほん
)
風に書くと、本舞台一面の平ぶたい、正面に朱塗りの仁王門、門のなかに観音境内の
遠見
(
とおみ
)
、よきところに銀杏の立木、すべて浅草公園仲見世の
体
(
てい
)
よろしく
半七捕物帳:10 広重と河獺
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それまで御隠居を動かして
鎖攘
(
さじょう
)
の説を唱えた二人の幕僚、
藤田東湖
(
ふじたとうこ
)
、
戸田蓬軒
(
とだほうけん
)
なども
遠見
(
とおみ
)
のきく御隠居の見識に服して、自分らの説を改めるようになった。そこへ安政の大地震が来た。
夜明け前:01 第一部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
奥の正面、及び右なる廻廊の半ばより厚き壁にて、広き
矢狭間
(
やざま
)
、
狭間
(
はざま
)
を設く。外面は山岳の
遠見
(
とおみ
)
、秋の雲。壁に出入りの扉あり。鼓の緒の欄干
外
(
そと
)
、左の一方、
棟甍
(
むながわら
)
、並びに
樹立
(
こだち
)
の
梢
(
こずえ
)
を見す。
天守物語
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と云うより早く、
遠見
(
とおみ
)
に張って居りました門弟
一人
(
いちにん
)
、一筋道に
立塞
(
たちふさ
)
がり
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
地獄で仏のよろこばしさをそのままに、ここで幾月かの間、張りつめていた神経がいっぺんにゆるんで、
膝
(
ひざ
)
ッ
骨
(
ぽね
)
の
蝶番
(
ちょうつが
)
いがクタクタになるかと思われると、お綱も
遠見
(
とおみ
)
に気がついて
鳴門秘帖:02 江戸の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
そこでまた
清々
(
すがすが
)
しく
一吸
(
ひとすい
)
して、山の
端
(
は
)
の煙を吐くこと、
遠見
(
とおみ
)
の
鉄拐
(
てっかい
)
の如く
春昼
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
遠
常用漢字
小2
部首:⾡
13画
見
常用漢字
小1
部首:⾒
7画
“遠”で始まる語句
遠
遠方
遠慮
遠近
遠退
遠江
遠山
遠音
遠眼鏡
遠路