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遁辞
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とんじ
ふりがな文庫
“
遁辞
(
とんじ
)” の例文
父衛侯の返辞は単なる
遁辞
(
とんじ
)
で、実は、以前厄介になった晋国が煙たさ故の・故意の延引なのだから、欺されぬように、との使である。
盈虚
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
「僕の関係した事でないから、僕は何とも云うまい。だから君もそう落胆イヤ
狼狽
(
ろうばい
)
して
遁辞
(
とんじ
)
を設ける必要も有るまい」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
右の如く口実を設けて
遁
(
のが
)
れんとする者は、なおかつ愛すべし。
滔々
(
とうとう
)
たる天下、この口実
遁辞
(
とんじ
)
を用いる者さえもなき世の中なれ、憐れむべきにあらずや。
教育の事
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
丁度
烏賊
(
いか
)
が、敵を
怖
(
おそ
)
れて、逃げるときに厭な墨汁を吐き出すように、この男も
出鱈目
(
でたらめ
)
な、その場限りの、
遁辞
(
とんじ
)
を並べながら、
怱卒
(
そうそつ
)
として帰って行った。
真珠夫人
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
との一話のごときは、なにものかの作説なるべきも、筮者の
遁辞
(
とんじ
)
にはこれに類すること往々聞くところである。
迷信解
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
▼ もっと見る
恐るべき鉄面皮の
遁辞
(
とんじ
)
に過ぎないではないか。舌は心の霊苗なり、とはどんな聖人君子の言葉か知らないが、何の事やらわけがわからぬ。完全な死語である。
惜別
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
それがなんの弁解になろう? それはかえって一そう人格を下げる愚劣な
遁辞
(
とんじ
)
だ! 酒中に真ありというが、その真実があの通りすっかりさらけ出てしまったのだ。
罪と罰
(新字新仮名)
/
フィヨードル・ミハイロヴィチ・ドストエフスキー
(著)
人々は、一時のがれの
遁辞
(
とんじ
)
だろうとおよそに聞いていたが、一日おいて二日目。この本営には、
櫛
(
くし
)
の歯をひくような急変の報らせが、呉国の諸道から集まってきた。すなわちいう
三国志:10 出師の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
書きたいことは多いが苦しいから許してくれ玉えとある文句は
露佯
(
つゆいつわ
)
りのない所だが、書きたいことは書きたいが、忙がしいから許してくれ玉えと云う余の返事には少々の
遁辞
(
とんじ
)
が
這入
(
はい
)
って居る。
『吾輩は猫である』中篇自序
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
独身主義などと云ふ
遁辞
(
とんじ
)
を作りなさるのは、僕は実に大不平です
火の柱
(新字旧仮名)
/
木下尚江
(著)
この口実も一応もっともなるに聞こゆれども、
到底
(
とうてい
)
許すべからざるの
遁辞
(
とんじ
)
のみ。身に覚えたる才学なしというか。けだし多く文字を知らざることならん。
教育の事
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
との一話のごときは、なにものかの作説なるべきも、筮者の
遁辞
(
とんじ
)
にはこれに類すること往々聞くところである。
迷信と宗教
(新字新仮名)
/
井上円了
(著)
他の世界——行為の世界は病弱な自分に対して閉されていたから、などというのは、
卑怯
(
ひきょう
)
な
遁辞
(
とんじ
)
であろう。
光と風と夢
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
これはたいへん立派な言葉のように聞えますが、実は狡猾な醜悪な打算に満ち満ちている
遁辞
(
とんじ
)
です。君はいったい、いまさら自分が誠実な人間になれると思っているのですか。
風の便り
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
「はて、
遁辞
(
とんじ
)
ばかりいわるるの。謙虚はお
辺
(
へん
)
の
隠
(
かく
)
れ
蓑
(
みの
)
か」
私本太平記:04 帝獄帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「君の云う事は皆
遁辞
(
とんじ
)
だ」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
に幕府が最後の死力を張らずしてその政府を
解
(
と
)
きたるは時勢に応じて
好
(
よ
)
き
手際
(
てぎわ
)
なりとて、
妙
(
みょう
)
に説を
作
(
な
)
すものあれども、
一場
(
いちじょう
)
の
遁辞
(
とんじ
)
口実
(
こうじつ
)
たるに過ぎず。
瘠我慢の説:02 瘠我慢の説
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
これは我が国の上流、殊に西洋家と称する一類の中に行わるる言なれども、全く無力の
遁辞
(
とんじ
)
口実たるに過ぎず。
日本男子論
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
遁辞
(
とんじ
)
と言うもあまりはなはだしからずや。
学問のすすめ
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
“遁辞”の意味
《名詞》
遁辞(とんじ)
言い逃れのための言葉、特に言い逃れるための屁理屈。逃げ口上。
(出典:Wiktionary)
遁
漢検準1級
部首:⾡
13画
辞
常用漢字
小4
部首:⾟
13画
“遁”で始まる語句
遁
遁世
遁走
遁出
遁込
遁路
遁甲
遁逃
遁走曲
遁帰