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迷妄
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めいもう
ふりがな文庫
“
迷妄
(
めいもう
)” の例文
迷妄
(
めいもう
)
やまず罪禍にまみれようとも、むしろそれを縁として、本来具有する仏性を自覚することに一大事因縁がある。——何事も
畏怖
(
いふ
)
する
勿
(
なか
)
れ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
耽溺
(
たんでき
)
、痴乱、
迷妄
(
めいもう
)
の余り、夢とも
現
(
うつつ
)
ともなく、「おれの
葬礼
(
とむらい
)
はいつ出る。」と云って、無理心中かと、
遊女
(
おいらん
)
を驚かし、二階中を騒がせた男がある。
薄紅梅
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
『猫は元来一
物
(
ぴつ
)
にして、敵味方を争うは
迷妄
(
めいもう
)
のもと。これさえ切れば光風
霽月
(
せいげつ
)
、手をとってともに山中を行く、これを切るには不動智をもってすべし』
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
彼はすべてを内密に行ない、自分の確実な良識に
自惚
(
うぬぼ
)
れていて、きわめて
漠然
(
ばくぜん
)
たる情報だけで満足していた。人生にはそういう
迷妄
(
めいもう
)
がよくあるものである。
ジャン・クリストフ:08 第六巻 アントアネット
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
けだしこの一派の
迷妄
(
めいもう
)
は、その芸術上に於て正しく求めようとする美の意識と、政治運動としてのイデオロギイとを、無差別に錯覚している無智に存する。
詩の原理
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
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これ理性と論理においては
迷妄
(
めいもう
)
の極みである。しかしながらその迷妄の中に、心霊の切なる要求が潜んでいる。その愚劣の中に、魂の哀切なる
呻
(
うめ
)
きが聞こえる。
ヨブ記講演
(新字新仮名)
/
内村鑑三
(著)
そのころの社会悪と人間性の陥りやすい権勢欲やら
迷妄
(
めいもう
)
やらが、余りに地獄化されたものでした。あの匂い優雅な藤原文化も、あえなき血と炎の革命に
瀕
(
ひん
)
しています。
随筆 新平家
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
その人々は、社会的事実としての宗教の存在は認めるのであるが、宗教は本来信ずる価値のないものであり、あるいは宗教は
迷妄
(
めいもう
)
であるがゆえに、自分は宗教を信じない、と言うのである。
キリスト教入門
(新字新仮名)
/
矢内原忠雄
(著)
敵方蒲生泰軒との親交から坤竜丸の側にそれとなく
庇護
(
ひご
)
と便宜をあたえていると知ったなら、大膳亮といえどもその及ばざるを覚り、後難を恐れて、ここらでさっぱりと
己
(
おの
)
が
迷妄
(
めいもう
)
を断ちきり
丹下左膳:01 乾雲坤竜の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
同じ主義を
抱
(
いだ
)
いている故に、表現されたものも同じであると考えるのは
甚
(
はなはだ
)
しい
迷妄
(
めいもう
)
である。芸術にあっては、党派というものは最も拙劣な空想だ。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
それに反し、この際、
迷妄
(
めいもう
)
にとらわれて降らず、君の城郭もあえなく陥落する日となっては、もう何事も遅い、君の一族妻子も、一人として生くることは、不可能だろう。
三国志:05 臣道の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ああ
迷妄
(
めいもう
)
払い難からん
任侠二刀流
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
弱冠、生死の
迷妄
(
めいもう
)
を捨て、百戦苦闘、今日を築いてきながら、その精神と節操を、門の飾りや往来の見得などと取替えるなどは、実につまらぬ人生の落ちではありませんか
三国志:09 図南の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
一切衆生は
悉
(
ことごと
)
く仏となる筈だが、しかし悉く仏となる時は来ない。人間の
迷妄
(
めいもう
)
は無限、地獄は永遠である。しかもその故にこそ誓願は絶えず、菩薩の夢は永遠なのではないか。
大和古寺風物誌
(新字新仮名)
/
亀井勝一郎
(著)
じつは、それが反対に、世人の方の
迷妄
(
めいもう
)
であったとしても、世人の常識限界から先へ、思いきった歩き方をして行く者は、いつもたいがい清盛と同じような
嘲笑
(
ちょうしょう
)
をうける。
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
この春のころ、あれほどにまで、予が、自身のいかりを
宥
(
なだ
)
めて、心の底より
諭
(
さと
)
しおいたるに——汝、なお
迷妄
(
めいもう
)
を
醒
(
さ
)
まさず、前非を悔いず、前にも増して悪行を
謀
(
たくら
)
みおるな。天を
惧
(
おそ
)
れぬしれ者めが
梅里先生行状記
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
猿めいた
面貌
(
おもざし
)
をした貧しい旅の一青年に会い、
豁然
(
かつぜん
)
と、多年の悪夢や
迷妄
(
めいもう
)
から
醒
(
さ
)
まされて——後に年経て、その時の猿顔の男が、
羽柴
(
はしば
)
秀吉と名乗っていることがわかり、随身して
一
(
ひと
)
すじの槍を受け
茶漬三略
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
迷
常用漢字
小5
部首:⾡
9画
妄
常用漢字
中学
部首:⼥
6画
“迷”で始まる語句
迷
迷惑
迷児
迷子
迷信
迷宮
迷路
迷子札
迷兒
迷羊