輔佐ほさ)” の例文
縁あって、多年、自身が輔佐ほさしたこの主人こそ、いわゆる破壊の時代をけて必然現われなければならない——次の人ではないかと。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山田さんは同じ文章の中で「私たちは……他人から独立を輔佐ほさされ、いわゆるもちつ、もたれつして生きて行くものだと思います」
おそらく古代では国君ならびにその輔佐ほさの任に当たる大官たちみずからこれらの科学的な事がらにも深い思慮を費やしたのではないかと想像される。
自由画稿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
商家の主婦が商業上の智識を以て夫の事業を輔佐ほさすると、これに反して錦繍綾羅きんしゅうりょうらまとうて煎茶せんちゃ弾琴だんきんを事とし、遊興ゆうきょう歓楽かんらく無用の消費に財を散じ、良人おっとの事業に休戚きゅうせきを感ぜざる事や
国民教育の複本位 (新字新仮名) / 大隈重信(著)
徳川家のあらんかぎり力の及ぶべきだけは天下の諸侯と共に朝廷を輔佐ほさし奉り、日本全国の力をあわせて外国の侮りをふせぐことともならば、皇国今後の目的も定まるであろう。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
よく、斉彬公を輔佐ほさし、久光公を援けて、この天下の難儀に赴かんといかん。一家の内に党を立て、一人の修行者風情を、お前ら多数で追っかけるような匹夫ひっぷの業は慎まんといかん
南国太平記 (新字新仮名) / 直木三十五(著)
が、しかし、父の代から勤めて、父の死ぬ時には懇々私の輔佐ほさを頼まれ老いてもなお矍鑠かくしゃくとして銀行の業務一切を取り仕切っているこの老人に向っては、真っ向から反対するわけにもいかず
陰獣トリステサ (新字新仮名) / 橘外男(著)
ふくたくめる奸賊かんぞくも有り面體見惡みにくき者の申立る事は言葉續きあららかにしていつはかざやうに聞え品に因ては裁許さいきよあやまりなしとも云難し然れば鎌倉七世の執權しつけん北條時宗を輔佐ほさして問注所もんちうしよの總裁職を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
「故信玄公にあの世でお目にかかってお詫びをせん。やはりわれわれ輔佐ほさの宿将どもの不つつかであった……。さらばぞ、甲州の山河」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かれは信長の命によって、勝家の北陸探題たんだい輔佐ほさして、共に越中に在任していたのであるが、勝家の滅亡と、秀吉の隆々りゅうりゅうたる勢いを見ては
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……ただ貴公に委嘱いしょくしておきたいことは、播磨はりまの御陣にある秀吉様のそばにあって、この上とも、良い輔佐ほさとなっていただきたいことしかない。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
輔佐ほさには、顕家の弟、顕信あきのぶ陸奥むつの鎮守府将軍にのぼせ、また、結城ゆうき宗広をも付き添わせて、ここに、東下の軍勢が、再編成されたのだった。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
景勝の世評もよいが、側臣には、直江山城守なおえやましろのかみのような輔佐ほさもいて、徳川家ともよくまじわっているし、大坂表の気うけもよい。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
いかにとはいえ、多年、側近に仕えて来た輔佐ほさの老職三名を、一時に誅殺ちゅうさつしてしまうなどは何といっても、無残である。その手段も、酷薄極まる。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その宇喜多家には、由来、和泉守直家いずみのかみなおいえ輔佐ほさしている四家老というものがある。——長船紀伊守、戸川肥後守、岡越前守、花房助兵衛の四老である。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「まだご評議の一決も見ぬうちにお寝みあれとは何事だ。それでも其許そこもと輔佐ほさの任をなしていると思うておるのか」
黒田如水 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そのじゃじゃ馬時代から左右に輔佐ほさして、今日の安土の大を成さしめた織田家の功臣林佐渡どのといい、佐久間父子おやこといい、ようやくその地位封禄ほうろくに酬われる日にいたれば
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お身にしても、また、それがしにしても、早や人間の定命じょうみょうには達しておる。このうえは、よき死に場所を得て、先君のおあとを慕い、われわれが、輔佐ほさの任に足らなかった罪を
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……さもあれば是非なし。悠々ゆうゆう、いつまでお待ち申しあげておられぬ場合。後に、お悔い遊ばすことなどないように、丹羽殿も切にお心入れあるこそ輔佐ほさのお役目であろうと。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
傅役もりやくには、従来どおり長谷川丹波守と前田玄以げんいの二人のほかに、なお秀吉が輔佐ほさすること。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
……胸いたむのみにございまする。ひとえにみな君側の讒争ざんそうや臣らの悪しき輔佐ほさのためか。とまれこれからは、み心大きく、治世済民ちせいさいみんをひたすらに、君にも御安堵あらせられますように
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その身を輔佐ほさの分にとどめて、すべての権を、旧主の遺族に還すにちがいない。
新書太閤記:10 第十分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
けれどよくよく考えてみると、長谷川、前田などの傅役のほかに、秀吉も幼君の輔佐ほさたるべしとは、昼の会議でみなが衆判の下に認めていたことである。僭上せんじょうなり——とはとがめられない。
新書太閤記:08 第八分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
が、雪斎は近年に至って、自分の教育と輔佐ほさの任に大きな矛盾を感じだした。それは義元がいよいよ自信をもって計画を進めつつある天下統一の覇業に、何となく不安を覚え出したことであった。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)