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うらは
櫟や
楢や
雜木や
凡てが
節制を
失つて
悉く
裏葉も
肌膚も
隱す
隙がなくざあつと
吹かれて
只騷いだ。
夜は
寂しさに
凡ての
梢が
相耳語きつゝ
餘計に
騷いだ。
暑さに一
枚しめ
殘した
表二階の
雨戸の
隙間から
覗くと、
大空ばかりは
雲が
走つて、
白々と、
音のない
波かと
寄せて、
通りを
一ツ
隔てた、
向うの
邸の
板塀越に、
裏葉の
飜つて
早や
秋の
見ゆる