血相けつさう)” の例文
……魔物まものだ、おにわめいて、血相けつさうへてござる……うもところ、——うへ逆上のぼせあがらつしやるなよ——うやら取逆とりのぼせてさつしやるが、はて
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
泥草鞋どろざうりつかんでなげつければ、ねらひたがはず美登利みどり額際ひたいぎはにむさきものしたゝか、血相けつさうかへてたちあがるを、怪我けがでもしてはときとむる女房にようぼう、ざまをろ、此方こつちには龍華寺りうげじ藤本ふぢもとがついてるぞ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
すると、南瓜かぼちやは今まではしやいでゐたやつが、急に血相けつさうを変へながら坐り直して——それから君、何をやつたと思ふ。あいつがそのとろんこになつた眼を据ゑてハムレツトの声色こわいろを使つたんだ。
南瓜 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
お銀ちやんは、血相けつさうをかへて怒り出した。
天国の記録 (旧字旧仮名) / 下村千秋(著)
わたしはバタ/\とびおりた。「ちよつとておくれ、げくさいよ。」家内かない血相けつさうしてけあがつた。「漏電ろうでんぢやないから。」——一日いちにち地震ぢしん以來いらい、たばこ一服いつぷくのない二階にかいである。
十六夜 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)