しめ)” の例文
ひっそりとした四辺あたりであった。しめやかな、光の外の光と、影の中の影とが相縺あいもつれて、それらが物の隅々にまで柔かにうちくすんでゆきつつあった。
フレップ・トリップ (新字新仮名) / 北原白秋(著)
此はてしない、しめやかな嬉しさの籠つた追憶談は、雨の盛岡のしめやかな空氣、蕭やかな物音と、全く相和して居た。
葬列 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
夜が更けたので次第に客は帰つて行つた。ムネ・シユリイを囲む僕等の一卓だけます/\話がしめやかに進んだ。ムネ・シユリイは幾たび煙草たばこを取つて皆に勧めた。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
五月どきのしめやかさのなかで、あの層のふかい、漆黒の闇の肌ざはりがしたしまれる。いはく、闇中孤坐。……そのなかへ、いつぽんの蝋燭を樹てる。蝋燭のがけぶる。
(新字旧仮名) / 高祖保(著)
小松殿逝去せいきよと聞きては、それもかなはず、御名殘おんなごり今更いまさらしまれて、其日は一日ばう閉籠とぢこもりて、内府が平生など思ひ出で、𢌞向三昧ゑかうざんまいに餘念なく、夜に入りては讀經の聲いとしめやかなりし。
滝口入道 (旧字旧仮名) / 高山樗牛(著)
文目あやめもおぼろ、しめやかに、あゝしめやかに、つくねんと
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
此はてしない、しめやかな嬉しさの籠つた追憶談は、雨の盛岡の蕭やかな空気、蕭やかな物音と、全く相和して居た。
葬列 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
夕暮がたのしめやかさ。あまりに物のねびたれば
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
しめやかにこの日もれぬ、北国きたぐにの古き旅籠屋はたごや
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
夕暮がたのしめやかさ、燈火あかり無きしめやかさ。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
いとしめやかに後背こうはいのにぶきつらねしらみたる。
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
夕暮がたのしめやかさ、燈火あかり無きしめやかさ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
いと高くいと深くいとしづにいとしめやげる
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
いと徐ろに日のひかりかぐろひてゆくしめやかさ。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
いと高くいと深くいとしずにいとしめやげる
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
いとおもむろに日の光陰ひかりかぐろひてゆくしめやかさ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
いと高くいと深くいとひやにいとしめやげる
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)