荒磯ありそ)” の例文
潮気しほけたつ荒磯ありそにはあれどみづぎにしいも形見かたみとぞし 〔巻九・一七九七〕 柿本人麿歌集
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
「よべのとまりの十六小女郎じゅうろくこじょろ、親がないとて、荒磯ありその千鳥、さよの寝覚ねざめの千鳥に泣いた、親は船乗り波の底」「うまいのねえ、感心だ事、話せるじゃありませんか」「話せますかな」
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
珊瑚寄る嶋の荒磯ありそにいとまなみ昨日きのふ今日けふも痩せて章魚たこ突く
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
松生ふる荒磯ありそならねどしくしくに寄りくるものは老の年波
礼厳法師歌集 (新字旧仮名) / 与謝野礼厳(著)
戰ひのある日と思ひ日の本の荒磯ありそ
一点鐘 (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
ああ、夜の嵐、荒磯ありそのくろ潮も
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
まへには荒磯ありそ潮騒しおさい、………
かの日の歌【一】 (新字旧仮名) / 漢那浪笛(著)
荒磯ありそにこそはつきにけれ。
海潮音 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
おれは荒磯ありその生れなのだ
死の淵より (新字新仮名) / 高見順(著)
荒磯ありそに生ひて松のいろ
佐藤春夫詩集 (旧字旧仮名) / 佐藤春夫(著)
荒磯ありそほとり、なつ
友に (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
おきしま荒磯ありそ玉藻たまもしほ干満ひみちいかくれゆかばおもほえむかも 〔巻六・九一八〕 山部赤人
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
しじにうつ櫓の音こほりてくる夜は荒磯ありその蠣も附きがたからむ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
夜の叫びも荒磯ありその黒潮も
(新字旧仮名) / 石川啄木(著)
荒磯ありそにこそはつきにけれ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
荒磯ありそうえ寂光土じやくくわうど——
友に (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
 荒磯ありそ
駱駝の瘤にまたがつて (旧字旧仮名) / 三好達治(著)
御立せし島の荒磯ありそを今見れば生ひざりし草生ひにけるかも(同・一八一)
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
小笠原嶋荒磯ありそうろに寄る波のゆたのたゆたに日の永きかも
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
姫は荒磯ありそのこほろぎの
騎士と姫 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
寂しくも見つつましも蠣の子は荒磯ありその蠣の母の根に添ふ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
よる深き荒磯ありその上に
寂寞 (新字旧仮名) / 末吉安持(著)
人にきけば鬼ヶ島ちふ鄙の島その荒磯ありそにも雀むれあそぶ
雀の卵 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
烏賊乾してただひなくさき当別たうべつ荒磯ありその照りよ今は急がむ
海阪 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)