胡椒こせう)” の例文
山椒さんせうの皮を粉末にしたのに、胡椒こせうと石灰と、灰と何やら得體の知れぬ南蠻物らしい藥品を混ぜ、大人おとなの拳固ほどの一丸にして、雁皮がんぴに包んだのを相手の面上に叩き付け
『まァ、澤山たくさん胡椒こせうはいつてること、肉汁スープなかに!』あいちやんはひながら大變たいへんくさめをしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
おくみはそれから少し歩いて賑やかな通りへ出て、勝手で使ふ胡椒こせうや、自分の白粉下のクリームや、針や絹糸なぞの買物をして、序に一寸先まで行つて乗換へのない電車に乗つた。
桑の実 (新字旧仮名) / 鈴木三重吉(著)
理科教室の顕微鏡に胡椒こせうをぬりつけたこと、授業中に回転焼をいくつ食へるか実験してみたところ、相手の教師によつて違ふが、まづ八個は大丈夫だ云々、バスの切符をわざと渡さなかつたところ
六白金星 (新字旧仮名) / 織田作之助(著)
亞米利加あめりか薄荷はくかの花、愛の衰にふりかける胡椒こせう
牧羊神 (旧字旧仮名) / 上田敏(著)
かみなり胡椒こせうよりもからい。
軽井沢で (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
あいちやんは、夫人ふじんかる快活くわいくわつ氣性きしやうになつたのをはなはよろこび、あの厨房だいどころ出逢であつたときに、夫人ふじん彼麽あんな野蠻やばんめいたことをしたのは、まつた胡椒こせう所爲せゐであつたのだとおもひました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
料理人クツク片手かたて胡椒こせうはこもつました、あいちやんはすでかれ法廷ほふていはいらぬまへに、戸口とぐちちかく、通路とほりみち人民じんみんどもが、きふくさめをしはじめたので、たゞちにそれがだれであつたかを推察すゐさつしました。
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)