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老僧
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らうそう
番甲 これにをりまする
老僧、また
殺されましたるロミオの
僕一
人、
何れも
墓を
發きまするに
屈竟の
道具をば
携へてをりまする。
此時七十
余の
老僧也しが、
前にいへる
何村の人の
不幸に
比れば万死に一生をえられたる
天幸といひつべし。
齢も八十余まで
无病にして文政のすゑに
遷化せられき。
差遣はすべし山中に
地獄谷と云處あり
此所にて兩人を
谷底に
突落して殺し給へ必ず
仕損ずる事あるまじ其
留守には
老僧天一を片付申すべし年は
老たれどもまだ一人や二人の者を
番丙 これなる
老僧は、
顫へながら
溜息を
吐き、
涙を
流してをりまする。
只今墓場から
參るところを
取押へて、これなる
鋤と
鶴嘴とを
取上げました。
土中に
埋むるに均し今貴僧の
咄さるゝ天一坊殿にも此伊賀亮の如き者一人
召抱に相成ば此上もなき御仕合と申もの也我も立身に
望なきにあらず
老僧宜く取計ひ給へと申ける常樂院大に喜こび
早速大膳にも
相談に及びし所ろ
大望を