“群立(むらだ)” の例文
柱だけの白いバンガロオが一軒、若い松の群立(むらだ)つた中にひつそりと鎧戸(よろひど)を下(おろ)してゐる。——それを写生してゐるのだつた。
O君の新秋 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
そのじぶん上野公園から谷中の墓地へかけては何千本という杉の老木が空をついて群立(むらだ)ち、そのほかにも椎(しい)、樫(かし)、もち、肉桂(にっけい)などの古い闊葉樹(かつようじゅ)が到る処繁ってたので
独り碁 (新字新仮名) / 中勘助(著)
珠(たま)か、黄金(こがね)か、世(よ)にも貴(たうと)い宝什(たから)が潜(ひそ)んで、気(き)の群立(むらだ)つよ、と憧憬(あこが)れながら、風(かぜ)に木(き)の葉(は)の音信(たより)もなければ、もみぢを分入(わけい)る道(みち)も知(し)らず……恰(あたか)も燦爛(さんらん)として五彩(ごさい)に煌(きら)めく、天上(てんじやう)の星(ほし)を指(ゆびさ)しても
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花、泉鏡太郎(著)
声に応じてその時まで、どうなることかと周章狼狽、なすところなく立ち縮(すく)んでいた、白須源吾をはじめとし、十数人の意次の家臣ら、一時に群立(むらだ)ち両手を拡げ、意次を中に輪のように囲み
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
楯竝(な)めて群立(むらだ)つ芋の高莖は紅(くれなゐ)すがし下透かしつつ
白南風 (旧字旧仮名) / 北原白秋(著)
神代の樟の群立(むらだ)ちの
晶子詩篇全集拾遺 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
その麓(ふもと)まで見通しの、小橋(こばし)の彼方(かなた)は、一面の蘆で、出揃(でそろ)って早(は)や乱れかかった穂が、霧のように群立(むらだ)って、藁屋(わらや)を包み森を蔽(おお)うて、何物にも目を遮(さえぎ)らせず、山々の茅(かや)薄(すすき)と一連(ひとつら)に靡(なび)いて、風はないが
海の使者 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それとても一瞬(ひとしきり)で、刀身はまたもや白く輝き、柄で蔽われていた茅野雄の額の、陰影(かげ)さえ消えて炬(きょ)のような眼が、眼前数間の彼方(あなた)に群立(むらだ)ち、刀の切っ先を此方(こなた)へ差し向け、隙があったら一斉に寄せて
生死卍巴 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
楯竝(な)めて群立(むらだ)つ芋の高茎は紅(くれなゐ)すがし下透かしつつ
白南風 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)