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緋葉
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もみぢ
徐大盡眞前に、ぞろ/\と
入ると、
目も
眩むやうな
一面の
櫨の
緋葉、
火の
燃るが
如き
中に、
紺青の
水あつて、
鴛鴦がする/\と
白銀を
流して
浮ぶ。
おなじ
年、
冬のはじめ、
霜に
緋葉の
散る
道を、
爽に
故郷から
引返して、
再び
上京したのでありますが、
福井までには
及びません、
私の
故郷からは
其から七
里さきの
月ならぬ
眞晝の
緋葉を
潛つて、
仰げば
同じ
姿に、
遠く
高き
峰の
緋葉は
蒼空を
舞つて
海に
散る……