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素樸
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そぼく
ふりがな文庫
“
素樸
(
そぼく
)” の例文
そして或時思いも寄らず、吾が口を死人の口に近づけたのであろう。口を吸いたりけるに、と
素樸
(
そぼく
)
に書いた昔の文は実に好かった。
連環記
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
ただどこか
素樸
(
そぼく
)
なところがあって、この内容に適しているのみならず、時代において先んじていることも認むべきである。
古句を観る
(新字新仮名)
/
柴田宵曲
(著)
Oの母は肥満した、大きな体格の婦人で、赤い
艶々
(
つやつや
)
とした
頬
(
ほお
)
の色なぞが
素樸
(
そぼく
)
な快感を与える。一体千曲川の沿岸では女がよく働く、
随
(
したが
)
って気象も強い。
千曲川のスケッチ
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
途中は一面の大
椰子林
(
やしりん
)
で、
其
(
その
)
奥へ
折折
(
をりをり
)
消えて
行
(
ゆ
)
く電車や、床下の高い
椰子
(
やし
)
の葉を葺いた
素樸
(
そぼく
)
な
田舎
(
ゐなか
)
の
社
(
やしろ
)
がぽつんと林の中に立つて居るのなどが気に入つた。
巴里より
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
、
与謝野晶子
(著)
世に伝うるマロリーの『アーサー物語』は簡浄
素樸
(
そぼく
)
という点において珍重すべき書物ではあるが古代のものだから一部の小説として見ると散漫の
譏
(
そしり
)
は免がれぬ。
薤露行
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
▼ もっと見る
その人は、チョン
髷
(
まげ
)
を結って、太い
鼻緒
(
はなお
)
の
下駄
(
げた
)
を
穿
(
は
)
き、見るからに
素樸
(
そぼく
)
な風体、変な人だと思っていると
幕末維新懐古談:40 貿易品の型彫りをしたはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
六閑堂は甚質素にして
閑雅
(
かんが
)
の趣があった。佐藤一斎の記に、「
黝堊
(
ゆうあく
)
ヲ
舎
(
す
)
テ、
麤埴
(
そしょく
)
ヲ用ヒ
彫琢
(
ちょうたく
)
ヲ去ツテ
素樸
(
そぼく
)
ニ従フ。ソノ
清迥閑曠
(
せいけいかんこう
)
ノ趣、一ニ山人逸士ノ棲止スル所ニ類ス。」
下谷叢話
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
玉のほうは三毛とは反対に神経が遅鈍で、おひとよしであると同時に、挙動がなんとなく無骨で
素樸
(
そぼく
)
であった。どうかするとむしろ犬のある特性を思い出させるところがあった。
子猫
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
今伝わっている
謡
(
うたい
)
の辞句も、表現がいかにも
素樸
(
そぼく
)
であって、室町期の気分が感じられるほかに、一方には寛永の頃、諸国に
疫癘
(
えきれい
)
の
災
(
わざわ
)
いがあり、鹿島の
神輿
(
みこし
)
を渡してその
患
(
うれ
)
いを除かんことを
祷
(
いの
)
った際に
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
まあ何んという
素樸
(
そぼく
)
な呼びかたで、いい味があるのだろう。
大和路・信濃路
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
夏が来れば店先へ
椽台
(
えんだい
)
などを出し、涼みがてらにのんきな浮世話しなどしたもの……師匠は仕事の方はなかなかやかましかったが、
気質
(
きだて
)
は至って楽天的で、物に
拘泥
(
こうでい
)
しない人であり、正直、
素樸
(
そぼく
)
で
幕末維新懐古談:20 遊芸には縁のなかったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
極
(
きわ
)
めて
素樸
(
そぼく
)
なものであった。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
素
常用漢字
小5
部首:⽷
10画
樸
漢検1級
部首:⽊
16画
“素”で始まる語句
素人
素
素直
素性
素振
素気
素朴
素足
素姓
素破