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紛糾
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こぐら
勘次は
午餐過になつて
復た
外に
出た。
紛糾かつた
心を
持つて
彼は
少し
俛首れつつ
歩いた。
暖かな
光は
畑の
土の
處々さらりと
乾かし
始めた。
そして考へる事も考へる事も、
直に傍へ
外れて了ツて、
斷々になり、
紛糾かり、
揚句に何を考へる
筈だツたのか其すらも解らなくなツて了ふ。
一次方程式、二次方程式、簡単なのは
如何にかなっても、少し複雑のになると、
Aと
Bとが
紛糾かって、
何時迄経っても
Xに
膠着いていて離れない。
おつぎの
一寸甘えた
樣な
聲や
與吉の
無遠慮な
無邪氣な
聲を
聞くと一
方には
又彼等の
家族と一つに
成りたいやうな
心持も
起るし、
彼は
凝然と
眼を
閉ぢて
居るので
頭の
中が
餘計に
紛糾かつて