立騒たちさわ)” の例文
旧字:立騷
市街まち中程なかほどおほきな市場いちばがある、兒童こども其處そこへ出かけて、山のやうに貨物くわもつつんであるなかにふんぞりかへつて人々ひと/″\立騒たちさわぐのをて居る。
怠惰屋の弟子入り (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
この勇敢なる黒犬は人々の立騒たちさわいでいるあいだにどこかへ姿を隠したため、表彰ひょうしょうしたいにもすることが出来ず、当局は大いに困っている。
(新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
立騒たちさわめしつかひどもをしかりつも細引ほそびきを持て来さして、しかと両手をゆはへあへず奥まりたる三畳の暗き一室ひとま引立ひつたてゆきてそのまま柱にいましめたり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
初めて知る、ここはあたかも虎ヶ窟の前によこたわれる谷底で、頭の上に立騒たちさわいでいる人々は、の七兵衛や権次の群であった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
集居あつまりゐたる若人わかてどもこれをきゝて、さらばなだれの処にいたりてたづねみんたいまつこしらへよなど立騒たちさわぎければ、ひとりの老人らうじんがいふ、いな/\まづまち候へ、とほくたづねにゆきものもいまだかへらず
然るに分娩ぶんべんさいは非常なる難産にして苦悶二昼夜にわたり、医師の手術によらずば、分娩ぶんべん覚束おぼつかなしなど人々立騒たちさわげる折しも、あたかも陣痛起りて、それと同時に大雨たいうしのみだしかけ、鳴神なるかみおどろ/\しく
母となる (新字旧仮名) / 福田英子(著)
池で、船の中へ鯉が飛込とびこむと、弟子たちが手をつ、立騒たちさわぐ声が響いて、最初は女中が小船こぶねで来た。
伯爵の釵 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)