トップ
>
眼路
>
めじ
ふりがな文庫
“
眼路
(
めじ
)” の例文
女の乗った渡舟はそれでもまだ
眼路
(
めじ
)
の果にあって、一つの黒い点になったかと思うと川すじが
迂曲
(
うきょく
)
して、突然見えなくなってしまった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
青々とした高原が
眼路
(
めじ
)
の限りひらけている。そうして全身をあらわした藍色をした富士山が、庄三郎の眼前に
聳
(
そび
)
えていた。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
厚い
混凝土
(
コンクリート
)
の
溝渠
(
インクライン
)
が、二十五度ぐらいの傾斜を帯びて、
眼路
(
めじ
)
も遥かに
霞
(
かす
)
んで、
蜿蜒
(
えんえん
)
とうねうねとして、四里先の大野木村まで続いていると聞いては
墓が呼んでいる
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
黒い地上に、とり別けてまっ黒に見える巨大な円筒が、
眼路
(
めじ
)
の限り、
遥
(
はる
)
かの
彼方
(
かなた
)
までギッシリと並んでいるのだ。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
縁のそとは
箒目
(
ほうきめ
)
をみせたお庭土、ずウッと
眼路
(
めじ
)
はるかにお芝生がつづいて、
木石
(
ぼくせき
)
の配合面白く、秋ながら、外光にはまだ残暑をしのばせる激しいものがある。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
▼ もっと見る
仁右衛門は
眼路
(
めじ
)
のかぎりに見える小作小屋の幾軒かを眺めやって
糞
(
くそ
)
でも
喰
(
くら
)
えと思った。未来の夢がはっきりと頭に浮んだ。三年
経
(
た
)
った後には彼れは農場一の
大小作
(
おおこさく
)
だった。
カインの末裔
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
彼はそのことを打ち明けるのに、市から汽車に乗って三十分ほどで行けるZの海岸にしようと考えた。その海岸は
眼路
(
めじ
)
もはるかなといっていいほど砂丘が広々と波打っていた。
雪の夜
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
暑い
午下
(
ひるさが
)
りの熱気で、ドキン、ドキンと耳鳴りしている自分を意識しながら歩いている。その
眼路
(
めじ
)
のはるかつきるまで、
咽喉
(
のど
)
のひりつくような白くかわいた道がつづいていた。
白い道
(新字新仮名)
/
徳永直
(著)
奇怪、奇怪、怪しい流血船と、船を襲う殺人怪魔、
眼路
(
めじ
)
の限り波また波の洋上に行われた、この亡霊の如き事件の謎は、果してどう解くべきであろうか? ——伊藤次郎は茫然として戻って来た。
流血船西へ行く
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
万頃
(
ばんけい
)
の豊田
眼路
(
めじ
)
はるかにして児孫万代を養ふに足る可く、
室見川
(
むろみがわ
)
の清流又杯を
泛
(
うか
)
ぶるに
堪
(
た
)
へたり。
衵浜
(
あこめはま
)
、
小戸
(
おど
)
の旧蹟、
芥屋
(
けや
)
、
生
(
いく
)
の松原の名勝を按配して、しかも黒田五十五万石の城下に遠からず。
ドグラ・マグラ
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
その時、筒井の手がしずかに伸べられ、子供の怖がる
眼路
(
めじ
)
をふさいだ。
伏見
(
ふしみ
)
あたりでできる、衣裳の美しい小さい人形であった。
津の国人
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
麝香草
(
じゃこうそう
)
や
薄荷
(
はっか
)
や
薔薇
(
ばら
)
の咲き乱れた花壇が
彼方此方
(
かなたこなた
)
に設けられ、そして甃の両側には、緑の街路樹が
眼路
(
めじ
)
の限りに打ち続き、その葉陰に真っ白な壁、磨き上げたような円柱
ウニデス潮流の彼方
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
見渡せば、
眼路
(
めじ
)
の限り、黒い波が、無数の怪物の頭の様に、根気よくうごいていた。
吸血鬼
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
眼
常用漢字
小5
部首:⽬
11画
路
常用漢字
小3
部首:⾜
13画
“眼”で始まる語句
眼
眼鏡
眼前
眼瞼
眼差
眼窩
眼球
眼眸
眼色
眼力