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真底
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しんそこ
ふりがな文庫
“
真底
(
しんそこ
)” の例文
旧字:
眞底
真底
(
しんそこ
)
、居どころを得たかのごとく、そして真人間に返らんものと、総督の靴を磨く仕事一つにも真心の光をみせていた武松であった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
浮気の恋ならば知らぬこと、
真底
(
しんそこ
)
から思いあった間柄が理屈で諦められるはずがない。たやすく諦めるくらいならば恋ではない。
春の潮
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
しかし見た処の外観からして如何にも
真底
(
しんそこ
)
からノラらしい深みと強みを見せようというには、やはり髪の毛を
黄
(
きいろ
)
く眼を青くして
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
それのみか、もう一歩夫人の胸中に立ち入って、その
真底
(
しんそこ
)
を
探
(
さぐ
)
ると、とんでもない結論になるかも知れなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
真底
(
しんそこ
)
のどこにか人の情の温か味というものがこの冷たい人の血肉の間にも
潜
(
ひそ
)
んでいて、それが一本の簪を伝うて流れるそのしおらしさがお玉の胸を突いて
大菩薩峠:06 間の山の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
彼の心の
真底
(
しんそこ
)
ではちゃんと自分が娼家界隈へはいっていることを知っているのである。本当は自分の泊ったことのある家々をあがきつつ捜し廻っている訳なのだ。
天馬
(新字新仮名)
/
金史良
(著)
段々種が切れて来ると、しまいには、会員を
真底
(
しんそこ
)
から戦慄させたものに、巨額の懸賞金をつける申合わせさえした。青木愛之助は
殆
(
ほとん
)
ど彼一人でその資金を提供した。
猟奇の果
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
豐「私が早く死んだら、お前の
真底
(
しんそこ
)
から惚れているお久さんとも逢われるだろうと思うからサ」
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
としきりに彼らを
呑
(
の
)
んでかからんとつとめたが、なかなか
呑
(
の
)
めない。いかに心中では豪傑を
衒
(
てら
)
わんとするも、
真底
(
しんそこ
)
よりの豪傑でないから、ますます
怖気
(
おじけ
)
てガタガタ
戦
(
ふる
)
える。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「つまり見かけ倒しで
真底
(
しんそこ
)
は駄目なんでございましょう? よく性格が現れていますわ」
好人物
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
ここに立ち至ってはもう素戔嗚にも、喧嘩に加わるよりほかに
途
(
みち
)
はなかった。のみならずついに相手の拳が、彼の
頭
(
こうべ
)
に
下
(
くだ
)
った時、彼は理非も忘れるほど
真底
(
しんそこ
)
から一時に腹が立った。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
同じ親切にも
真底
(
しんそこ
)
からのと、通り一ぺんのと二つありますわね。
或る女:1(前編)
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
と仰せになって、
真底
(
しんそこ
)
からくやしいふうをお見せになった。
源氏物語:31 真木柱
(新字新仮名)
/
紫式部
(著)
これは実に困ったと
真底
(
しんそこ
)
から私は困り抜きました。
幕末維新懐古談:33 蠑螺堂百観音の成り行き
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
そんな涙ッぽい粧いは自分の
嗜虐
(
しぎゃく
)
に似合わないと知っているせいだろうが、このときだけは
真底
(
しんそこ
)
、何か身につまされたようだった。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
私たちは、
今日
(
こんにち
)
まで
真底
(
しんそこ
)
から、互に愛し合って居りました。しかし世間はそれを認めてくれません。閣下、世間は妻が私を愛している事を認めてくれません。それは恐しい事でございます。
二つの手紙
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
野崎君も赤羽君も見せかけているほどの
悪徳家
(
あくとくか
)
でない。唯
年少客気
(
ねんしょうかっき
)
、
無暗
(
むやみ
)
に強がる丈けで、
真底
(
しんそこ
)
は好人物だった。高木君は又行き方が違う。腕力は誇らないが、議論で
他
(
ひと
)
を負かすのを得意とした。
凡人伝
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「かくまでの師直の暴悪を、兄者は
真底
(
しんそこ
)
では憎んではおられぬように見える。お口では強い返事を使者にいわせておられるが」
私本太平記:13 黒白帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「今度は続きましょうよ。
真底
(
しんそこ
)
から後悔しているようですから」
脱線息子
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
地獄で
母子
(
おやこ
)
が救われた恩人とは思ってみても、ついぞ
真底
(
しんそこ
)
、自分の男と抱きしめる気にもなれぬし、抱きしめられて、枕を
外
(
はず
)
したこともなかった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
……そしてかれらからつぶさに梁山泊の内状を話され、かつまた、泊中の人達の、烈々たる理想をかたり聞かされて、
真底
(
しんそこ
)
、自分の考え方も
革
(
あらた
)
められてしまったのです
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“真底”の意味
《名詞》
心の奥底。本心。心底。
物事の奥底。
(出典:Wiktionary)
真
常用漢字
小3
部首:⽬
10画
底
常用漢字
小4
部首:⼴
8画
“真”で始まる語句
真
真似
真面目
真実
真直
真中
真紅
真暗
真赤
真鍮