病中びやうちう)” の例文
思ひ出す程にして何もかうして居られぬと又飛出しては夜泊り日泊り家には尻の据らねば終に病中びやうちうながら養父五兵衞の耳にすぐに離縁といきどほるを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
だい一、病中びやうちうは、取乱とりみだした姿すがたせるのを可厭いやがつて、見舞みまひくのをことはられた自分じぶんではないか。——これわるい。こんなところを。あゝ、まない。
続銀鼎 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
なくてはいけないなんの病中びやうちう失礼しつれいなにもあつたものぢやアないそれともすこきてならぼくりかゝつてるがいゝといだおこせば居直ゐなほつて。
闇桜 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
得ずと申されければ長庵は病中びやうちうゆゑこゝろに任せず今更いまさら後悔こうくわい仕つり候併し先年中山出雲守樣の御裁許濟さいきよずみに相成候事と申す時越前守殿はつたと白眼にらまれ如何に長庵其方病中にて見送りさへ致し得ぬと申しながら何として其廿八日の未明みめいに平川天神の裏門通りを
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
貸くれと申すも餘り心なきことと存じことわり申候と云ひける時越前守殿其方は母の病中びやうちうに一度見舞に參りしと菊が申立しが夫に相違なきやと訊尋たづねられければお粂は少しことばよどみしが私し方甚だ無人ぶにんにて私し店に居申さず候ては用向差支へ候ゆゑ漸々やう/\一度見舞に參り候と申立るに越前守殿夫は何時頃いつごろの事なりと云るればお粂は指を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)