疊紙たゝう)” の例文
新字:畳紙
「親分——曲者は同じやうな疊紙たゝうを用意して、お杉が出た後、僞繪圖面を神棚へ供へ、大急ぎでお勇の部屋から眞物ほんものを掻つ拂つたのだね」
わたしはそのころ牛込うしごめ南榎町みなみえのきちやうんでたが、水道町すゐだうちやう丸屋まるやから仕立上したてあがりを持込もちこんで、あつらへの疊紙たゝうむすいたときは、四疊半よでふはんたゞ一間ひとま二階にかい半分はんぶん盛上もりあがつて、女中ぢよちうほそまるくした。
火の用心の事 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
小僧さん達着る物のほころびでも切れたなら私の家へ持つてお出、お家は御多人數お内儀さんの針もつていらつしやる暇はあるまじ、私は常住仕事疊紙たゝうと首つ引の身なれば本の一針造作は無い
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
やがて、主人は手文庫の中から、疊紙たゝうに包んだにしきの袋を出し、その中を探つて、薄黒い梅干ほどの丸藥を取出しました。
小僧こぞうさんたちもののほころびでもれたならわたしうちつておいで、おうち御多人數ごたにんず内儀かみさんのはりつていらつしやるひまはあるまじ、わたし常住じやうじゆう仕事しごと疊紙たゝうくびぴきなればほんの一針ひとはり造作ざうさ
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
娘のお勇に頼まれて、贋物の繪圖面の入つた疊紙たゝうを盜み、その後へ大垣に頼まれた疊紙へ、在り合せの僞の下繪圖を
「その通りさ、——たゞ、同じやうな疊紙たゝうまで用意するのは、たくらみが深いな」