)” の例文
すると、しきりに、村の軒並を物色してきた捕吏が、張飛のすがたを認めると、きつれている十名ほどの兵へにわかに命令した。
三国志:02 桃園の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
かくかんがえるとどうも馬琴の説が当り居るようだ。すなわち斉の宣王が堂上に坐すと牛をいて過ぐる者あり。
〔譯〕誘掖いうえきして之をみちびくは、教の常なり。警戒けいかいして之をさとすは、教の時なり。に行うて之をきゐるは、教の本なり。言はずして之を化するは、教のしんなり。
なぜならばもし巡礼者であれば巡礼に必要な食品を背負って居るところの荷馬とかあるいはヤクとかをいて居る訳であるのにそういうものはない。行商ぎょうしょうかと思えば行商でもない。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
主人なるべし、腰に山羊やぎの皮を卷き、上半身は殆ど赤條々あかはだかなる老夫は、起ちて媼の手に接吻し、一語を交へずして羊の皮をはふり、驢を門口にき出し、手まねして我にれと教へぬ。
その一同の気を呑み、声を呑んだ緊張の裡に樫尾大尉は改めて繃帯をした頭を下げると、かたわらをかえり見て、ねむたそうな顔をしておられるカルロ・ナイン殿下の手をきながら辞し去った。
暗黒公使 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
唯一の文学だつた短歌と肩をならべさうな機運をきつけてゐた。
先供の者にはこぶしに鷹を据えさせ、乗換馬二頭をかせて歩いたとあるから、その行装に威容を心した有様はほぼ想像がつこう。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——つい今し方のこと、賤ヶ嶽の桑山重晴様は、砦のお手勢をみなきつれて、木之本の方へと、山伝いに、急いでおいでなされました」
新書太閤記:09 第九分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その道中には、一族の郎党と弓馬をし、諸国遊歴とはいうものの、堂々たる武者行列で往来したものらしかった。
随筆 宮本武蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
こちらはかねての手筈どおり、かく打揃うちそろうたが、宗時殿には、婚儀の席を外して、物々しい人数までき連れ、何でかような所へ伏せておらるるのか。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「先にそんな軍勢がいるものか。いつまで俺たちも、虎や狼の親分でいても仕方がねえ。一足跳びの立身出世は今この時だ。手下をき連れて出かけよう」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そう云い渡して、自ら西平関せいへいかんへ向う旨を告げた。新たに調えた軍勢三万余騎のうちに、姜維きょうい、張翼の両将を加え、また関興、張苞もき具して、急援に馳せたのであった。
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
江上に待っていた呉侯孫権は、諸将をき従えて入城した。そして直ちに降参の将潘濬はんしゅんを見、その乞いを容れて呉軍に加え、また獄中にあった魏の虜将りょしょう于禁うきんをひき出して
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
して参るかはしらぬが、いずれ多寡たかの知れたもの。手筈をあやまたず討ち取ってしまえ
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、五人十人ずつの、小さい仲間もにわかに駈けつけてくるし、その前に、頼朝からまねきの書状が飛んでいる葛西領、豊島領あたりの僧も二十、三十と郎党をきつれて、途中から加わった。
源頼朝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)