猪口才ちょこざい)” の例文
「いやそれは、とんだお耳ざわりであったろう。お案じ下さるまい。今すぐ、この猪口才ちょこざいな使者めをつまみ出してしまいますれば」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
醜悪にして猪口才ちょこざいな敵機が大阪の町々に火の雨を降らせたその時から数えて今日まで丁度一ト月の間、見たり聴いたりして来た数々の話には
「万能余りあって一心足らずというのが貴様のことだ、馬鹿なら馬鹿で始末がいいが、なまじい腕の出来るつもりが癪にさわる、この猪口才ちょこざいめ」
大菩薩峠:21 無明の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
いまは——山の大彫像は、いぜんとして厳乎天半を領している、しかしちかづいてみると、そこにもここにも人間の猪口才ちょこざいがみにくいものをふりまいて、その荘厳をよごしている。
山岳浄土 (新字新仮名) / 中村清太郎(著)
しかし、いくら世辞ですすめられても素人しろうとのくせに俳優を指揮したり俳優の本読みするやうな猪口才ちょこざい真似まねは決してしなかつた。それといふのもわたしに一つの自信があつたからだ。
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
「おい、みんな。猪口才ちょこざいにも、日本の空軍部隊と艦隊とが、こっちへ攻めて来るぞ。あいつらが白骨島につかない先に、その途中でやっつけてしまうのだ。すぐさま全部出動準備をせよ」
怪塔王 (新字新仮名) / 海野十三(著)
無能なところが上等なのである。猪口才ちょこざいでないところが上等なのである。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
以前まえかた京師けいしにありし時、汝の噂を耳にしたり、女だてらに党をつくり、義をあつめるとは猪口才ちょこざい千万! いで五右衛門が退治てくれる! まずその前に素姓を云え! 素姓を名のれ! 名を名のれ!」
蔦葛木曽棧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
我も汝が欲かなんぞで対岸むこうにまわる奴ならば、ひとの仕事に邪魔を入れる猪口才ちょこざい死節野郎しにぶしやろう一釿ひとちょうなに脳天っ欠かずにはおかぬが、つくづく汝の身を察すればいっそ仕事もくれたいような気のするほど
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
浅田は猪口才ちょこざいなと云わんばかりに笑った。
支倉事件 (新字新仮名) / 甲賀三郎(著)
猪口才ちょこざいなといわんばかりの口調だ。
巷説享保図絵 (新字新仮名) / 林不忘(著)
永「猪口才ちょこざいな事をするな」
敵討札所の霊験 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
猪口才ちょこざいに出る)
一本刀土俵入 二幕五場 (新字新仮名) / 長谷川伸(著)
「蹴倒したが悪いか。汝は文官だろう。文官のくせに、大将たる俺に向って、猪口才ちょこざいなことを申すからこらしめたまでだ」
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
貴様は、今ここへ来たばかりで何も事情を知らん、その事情を知らん者が、でしゃばって仲裁ぶりをするとは猪口才ちょこざいだ。こっちには確かに訴え出でた人もあり、この通り証拠もある。
大菩薩峠:10 市中騒動の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
「こやつ! 猪口才ちょこざい! ううむ、切ったな!」
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
猪口才ちょこざいなりメリケン艦隊!
空襲葬送曲 (新字新仮名) / 海野十三(著)
何という猪口才ちょこざいだろう。
坊っちゃん (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
これだけ? ——これだけなものか——ほかに、もう一通、弁馬の奴からよこした猪口才ちょこざいな果し状も、紙捻こよりのようにって、結いつけておいたのだ。
御鷹 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
猪口才ちょこざいな、こん畜生め」
大菩薩峠:15 慢心和尚の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
猪口才ちょこざい! 何を!」
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
猪口才ちょこざいであろう。まだ汝らのような駈出しの小僧に首を持って行かれるほど、長沙の黄忠は老いぼれてはおらぬ」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、そのとき、彼は語気つよくすけへ言い放った。猪口才ちょこざいなと、腹のそこから怒ッたとすら聞えるほどな語気だった。
私本太平記:12 湊川帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近づくに従って、その猪口才ちょこざいなかっこうを明らかに眺め、武蔵はまたくちのあたりに微苦笑を加えた。
宮本武蔵:03 水の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
猪口才ちょこざいな奴! 大先生、唯一太刀に斬っておしまいなされ。行きがけの駄賃というたとえもござる」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
猪口才ちょこざいな」と、罵りながら、部下の関兵へ大呼して、狼藉者を召捕れとわめいた。
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
猪口才ちょこざいなと跳ね上がった河内房は、再び大上段から新九郎の肩口へビシリと拝み打ちに来たのを、ヤッと払って返す太刀と敵の三の太刀がガッキと火の匂いを発して十字にぶつかる。
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「降ろせっ。輿の中よりわしを出せ。猪口才ちょこざいな孔明の手先、蹴ちらして通る」
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
猪口才ちょこざいにも、もっともらしい顔をして、取次ぎの小侍こざむらいに申しいれることには
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
(青くさい公達輩きんだちばらが、なんの猪口才ちょこざいな——)
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なんの猪口才ちょこざいな」
三国志:03 群星の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なにを、猪口才ちょこざい
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
猪口才ちょこざいな奴——」
剣難女難 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
猪口才ちょこざいなやつめ」
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「……猪口才ちょこざいな」
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
猪口才ちょこざいな」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
猪口才ちょこざい
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)